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高騰する輸入小麦を米粉や国産小麦へ切り替え「それ、緊急対策じゃない」と商社マン

クリミア地方の小麦畑。2022年は収穫ができるのか流通するのかも不明(SPUTNIK/時事通信フォト)

クリミア地方の小麦畑。2022年は収穫ができるのか流通するのかも不明(SPUTNIK/時事通信フォト)

 日本最大の製パン企業、山崎製パンが食パンと菓子パンを7月1日から平均7%値上げすると発表した。今年になって二度目の値上げは、原料となる輸入小麦の政府売り渡し価格の引き上げだけが原因ではなく、油脂類、砂糖、包装資材などあらゆるものの価格が上がり企業努力だけではどうにもならなくなったからだ。同じ4月28日に東京外国為替市場では、円相場が1ドル130円台後半に急落、20年ぶりの円安水準を更新した。俳人で著作家の日野百草氏が、輸入小麦をめぐる政府の政策が緊急の対応にならないだろう理由を探った。

 * * *
「価格の据え置きとか、輸入小麦を米粉やら国産小麦への切り替えなんて今すぐには無理です。これを緊急対策として言ってるとしたら、何を今更です。わかってて言ってるのでしょうが、ちょっとどうかと」

 4月26日、政府が物価高騰に関して6兆2000億円規模の緊急対策を決定した。この決定は、生活困窮者への支援を拡大し、原油価格高騰を防ぎ、中小企業対策も拡充、輸入小麦や国産木材、家畜のエサなど原材料やエネルギーへの支援を盛り込んでいる。それを受けての専門商社に務める旧知の商社マンから疑問の電話。

「輸入小麦はすでに政府売渡価格の引き上げが決まってました。17%です。海上運賃の高騰と円安、それに戦争ですからね、上がるのは仕方ない」

 詳細かつ専門的な部分は本旨ではないため割愛するが、日本の小麦の90%近くは輸入に頼っている。輸入小麦はそのほとんどを政府が一括して買い上げているが3月、価格が17.3%引き上げられて1tあたり7万2530円と発表された。これは過去2番目の高値で、すでに4月から各製粉会社は業務用小麦粉の価格を改定した。しかし政府は今回の緊急対策で9月まで販売価格を据え置くとした。それはありがたい話だが、極めて限定的だ。

「直近でもさらに1割以上、上がってます。7月の選挙のために据え置くだけでしょう」

 今年は7月(予定)に参議院選挙がある。選挙までもう2ヶ月くらいしかない。今回の緊急対策とやらも同じく発表されたバラマキ(後述)と同様、露骨な選挙目当てということか。そんなことを言っている場合じゃないと思うのだが。

「ロシアとウクライナの小麦を頼ってきたEU諸国が日本の分も手を出し始めてます。ただでさえ北米が不作なのに、さらに奪い合いになる」

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