イベントを放送するのはフジテレビ(写真/Getty Images)
報道を受けてPRIDEを大会中継していたフジテレビは、「DSEによる契約違反が明らかになった」として、放送中止を発表、DSEとの契約も打ち切った。契約違反の内容について明らかにされることはなかったが、フジの広報部は当時、「社内調査をした結果、疑惑の確度は限りなく黒に近いと判断した」(『AERA』2006年6月19日号)と答えている。
この措置に対して、榊原氏は即座に記者会見を開き、「記事は一切、事実無根です。反社会的勢力とあたかも関係しているかのように作られた記事で契約解除されるのは、我々としては納得できません」と反論したが、放送中止の決定は覆らなかった。PRIDEは他団体に買収されることになり、事実上消滅した。
榊原氏は雌伏の時を経て2015年にRIZINを設立、再びフジテレビとタッグを組み、格闘技中継の地上波復活にこぎつけた経緯がある。榊原氏はRIZINの設立1年の節目に、記者会見でこう語っていた。
「コンプライアンスは私自身もいろんな形で皆さんから非難を受けたり、やり方に関して脇が甘かった部分がたくさんあったかなと猛省しております。企業としての防衛力、コンプライアンスを徹底的にし、自分たちを律していきますし、皆さんにご心配やご迷惑をかけないようなクリーンな大会運営に努めたい」
だが、流出した音声データの受け止められ方次第では、16年前の躓きの原因となった「反社会的勢力との関係の疑惑」が再び取り沙汰される事態となりかねない。
フジテレビの見解は
改めてRIZINの運営元のドリームファクトリーワールドワイド広報担当者に尋ねると、「榊原代表本人が直接対面して取材に応じたいが、締め切りまでには都合がつかない」としたうえで、こう文書回答があった。
「弊社は、貴社への情報提供者らを加害者、弊社を被害者として、警察にも立件のご相談をしている立場であり、貴社はかなりの事実誤認をされている可能性があると思っています。また、X(文書では実名)らの行動により、弊社には経済的な損害(その額は決して慰謝料相当額にとどまらないと考えます)も現実に発生しているところであり、Xらに対しては民事でも損害賠償請求を検討しているところ、貴社がXらの行動を援助、助長される場合には、貴社ないし貴社ご担当に対し実損害につき民事の損害賠償をすることも検討しなければならなくなります。
貴社におかれてはご賢察賜り、まずは弊社への十分なご取材を尽くしていただきますよう、また、決して犯罪行為に加担することのないようお願いいたします。我々はいかなる反社会勢力とも関係しておらず、それは立ち上げから今現在に至るまで清廉潔白に格闘技イベントを主催・運営していることを改めて申し上げます」