そこで本誌・週刊ポストは、「政治過程論」が専門で『データ分析読解の技術』(中公新書ラクレ)の著書がある政治学者・菅原琢氏が運営する『国会議員白書』サイトで公表されているデータをもとに、全衆院議員の「質問主意書提出数」「本会議と委員会での質問回数(発言数)」の2項目を、また「日本法令索引」をもとに「議員立法数」を客観的に集計し、各議員の国会での仕事ぶりを調べた。菅原氏が語る。
「有権者は選挙区から選ばれた議員が国会でどんな仕事をしているか簡単に調べることはできません。国会の議事録などの情報はネットで公開されていても、議員ごとにまとめられているわけではないので、他の議員との比較も難しい。それを肩代わりしたのが『国会議員白書』です。有権者には自分の投票した議員の仕事ぶりを確認することができ、次の投票の参考にできます。真面目に活動している議員も、国会での活動が整理されていると励みになるし、活動が低調な議員へのプレッシャーにもなる」
集計の対象期間は衆院議員としての前回の任期(衆院選投票日の2017年10月22日から、2021年10月14日の衆院解散で失職するまで)だ。その間、通常国会4回、臨時国会が7回、合わせて11回の国会が開かれており、2017年総選挙で有権者から受けた負託に対し、どのくらい仕事をしたかの目安になる。昨年10月の総選挙後の質問数や議員立法数は任期途中なので集計に含めていない。
集計結果をランキングにした結果、議員立法数や質問主意書提出数がゼロの議員は数多かったが、加えて国会質問が5回以下(11回開かれた国会の半分も質問していない)なのは27人だった。所属政党の内訳は自民25人、野党2人。ただし、落選した元議員は除外した。
別表でその立法数や質問主意書の数などをまとめているが、ここでは27人の名前を紹介しよう(グループごとに五十音順)。
【本会議+委員会発言がゼロ】
甘利明氏、石破茂氏、衛藤征士郎氏、小沢一郎氏、小泉龍司氏、後藤田正純氏、中村喜四郎氏、村上誠一郎氏、森山裕氏、山本有二氏、塩谷立氏
【本会議+委員会発言が1回】
細野豪志氏、森英介氏
【本会議+委員会発言が2回】
小渕優子氏、薗浦健太郎氏、額賀福志郎氏、林幹雄氏、林芳正氏
【本会議+委員会発言が3回】
下村博文氏、宮澤博行氏
【本会議+委員会発言が4回】
木原稔氏、冨樫博之氏、二階俊博氏、浜田靖一氏、藤丸敏氏
【本会議+委員会発言が5回】
今村雅弘氏、深澤陽一氏
※週刊ポスト2022年5月27日号