反芻して自分を励ましたくなるセリフの数々
書きたいことはたくさんあるけれど、今回は吉野千明が放った、胸打つセリフに注目したい。第1、第2シリーズ内のトータルで選んでみた(順不同)。
「不安だし、さびしいけれど、それを口にはせず、明るく笑い飛ばしていた。それが大人になるということなのかもしれない」
「人は拠りどころを探して生きている。例えば、仕事。例えば、恋。例えば、家族。仕事を拠りどころに生きてきた私が、もし仕事を失ったとしたら……これから先、どう生きていったらいいのだろう」
毎度ドラマ内では、放送回を説明、総括するようなキョンキョンによるナレーションが入ってくる。これが愛だ、恋だ、酒だとバカ騒ぎしている物語をスッと全肯定している。耳に言葉がよく入ってくる。
続いては、いつもクソ真面目で面白くないと言われる、長倉家の長男・和平(中井貴一)に向けた(珍しく)彼を擁護するような一言。
「お兄さんの言っていることって、すっごく真っ当だし、必要な言葉だと私は思いますけどね。(中略)真っ当で、必要なことって……つまらないんですよ。きっと」
仕事をしているとエッジの効いたことばかりを求められるわけでもなく、正論を振りかざせと強要されることもある。このセリフはその代弁者だ。そして時には千明なりのテンションで、独身の本音も漏れる。
「倒れてさ、病院に運ばれて、病室で思ったんだよね。(中略)私さ、家族いないんだなあって。田舎にはさ、親も兄弟もいるけどさ……『家族を作らなかったんだなー、私』ってつくづく思ったんだよね」
独身にだいぶケアの高い時代になったけれど、孤独と自由のニコイチはいつでもつきまとう。ああ、医療保険を見直そうという気持ちになった。