ライフ

藤井青銅氏の『一芸を究めない』生き方 「知的発見を伴う“面白い”を書きたい」

藤井青銅氏が新作について語る

藤井青銅氏が新作について語る

【著者インタビュー】藤井青銅氏/『一芸を究めない』/春陽堂書店/1650円

 兼業や副業が今のように奨励される遥か以前から、作家に脚本家、放送作家に作詞家等々、幅広いキャリアを「意図的に」築いてきたという、藤井青銅氏(66)。その言い得て妙な最新刊『一芸を究めない』でも、まず前書きがふるっている。少し長くなるが引用しよう。

〈昔から、日本には「過剰な純粋主義」があると思っている。それが精神主義・根性主義と合わさり、同調圧力に囲まれると、「一芸を究めろ」に縛られて人は息苦しくなる〉
〈私はこれを「単線主義」と呼んでいる〉
〈日本は、富国強兵の単線主義で急速な近代化に成功した〉
〈しかし、アクシデントや大きな環境の変化に弱いのだ。壁にぶち当たった時、それを回避する行為は「逃げ・邪道」とみなされる。その呪縛で、変化に対応できないまま突然ポキッと折れる〉
〈人も組織も、そしてこの国も〉──。

 よって一見効率は悪いが、冗長で変化にも強い〈複線主義〉が今こそ必要だと、 40年来の実践者・藤井氏は書く。曰く人には「逃げ場や寄り道」も必要なのだと。

 連載中の表題は『この話、したかな?』だったとか。

「WEBに毎週、今の話や昔の話を特にテーマも決めずに書いていたんです。それを本にする段になって、今の世の中、売れてるのは実用書か自己啓発本だってことに気づいたんですね。それでビジネス書のふりをしたらどうかと提案したら、面白い、それだと版元が意外にノッてくれて(笑)。

 ただし一芸を究めないという言葉自体は私の40年来のポリシーですし、いつか使おうと温めてはいたんです。それがここ数年はコロナ禍もあって、何でもやらないと生きていけない流れに、時代の方がなってきた。

 別に160キロの剛速球を投げられる人はいいんです、一芸でも。でもそうでない人は変化球を覚えたりして打ち取るしかない。つまり大事なのは打ち取ることで、速球を投げることじゃない。私があえて仕事を散らしてきたのも力がないからで、脚本でも何でもやることで、書く仕事を続けていけたらなあと思うからなんです」

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン