国内

数字がとれる犬猫動画を日々ネットで追いかけるテレビマンの嘆息

可愛い動物の動画はテレビでも大人気(イメージ)

可愛い動物の動画はテレビでも大人気(イメージ)

 YouTubeの黎明期、言葉の壁を乗り越えて再生回数を増やせるジャンルは、かわいいペットだと言われてきた。いまも愛らしい動物の動画は人気で、それはテレビ放送でも似たような傾向にある。SNSで人気の動物コンテンツをテレビが改めて紹介するテレビ番組が増加している裏側には、どんな事情があるのか、ライターの宮添優氏がレポートする。

 * * *
 テレビ局で働く藤岡良太さん(仮名・40代)のノートパソコンには、可愛い猫や犬、そして赤ちゃんなどの映像が次々に映し出されていた。どれも微笑ましい映像ばかりで、楽しげな仕事をしているようにも思えたが、藤岡さんの目は死んだ魚のように濁り、覇気もない。そして吐き捨てる。

「こんなの、テレビじゃないっすよ……。ネット上のまとめサイトと何が違うのかと問われても、反論できません」(藤岡さん)

 藤岡さんはかつて報道局に所属し、バリバリの現場記者として活躍。事件取材では特ダネを入手し、社内表彰を幾度も受けた。その後、情報番組担当に異動しディレクターとなった。そして、いま担当しているのが可愛いペットや赤ちゃんなど、視聴者が撮影した何十、何百という映像を編集し、番組内のコーナーで放送する、という仕事だ。

「昔なら、こうした映像は国内外の映像会社やエージェンシーから買い取って放送していたのですが、国民総スマホ社会となった今では、視聴者から直接、入手するのが主流になりました。以前、数字(視聴率)をとるのは『ラーメンとペットだ』と自虐的に笑うテレビマンがいましたが、今では本物のキラーコンテンツ。実際に数字もいい」(藤岡さん)

 事実、情報番組やニュースを見ていると、局がどこかに関わらず、必ずと言っていいほど、こうした「視聴者映像コーナー」が差し挟まれる。可愛いペットだけでなく、事故の瞬間やドラレコ(ドライブレコーダー映像)などの視聴者映像をテレビで見ない日はないほどで、番組制作がこれらに頼っていることは明らかである。

 これらの傾向について、ネットで「テレビ局がネットの映像を使って楽をしている」と小馬鹿にされていることも藤岡さんは知っている。

「テレビでこうした視聴者映像を流すと必ず『前にネットで見た』とか『テレビはやっぱり遅れている』と言われます。はっきり言ってその通りで、テレビマンとしては忸怩たる思い。しかし、コスパがよく数字も良いとなれば、上層部からは『もっと尺を伸ばせ』『ニュースでも扱え』と言われる。心を無にしてやるしかない」(藤岡さん)

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン