最後に生き残る「悪女」
熾烈な権力闘争に勝ち残るのが北条政子だ。
「『草燃える』(1979年放送)で岩下志麻さんが演じた政子は、少し威厳がありすぎる印象だったので、個人的には今回の小池栄子さんは“これぞ政子だ!”という感じ。
歴史上『悪女』と捉えられがちですが、田舎(伊豆)の元気なお姉ちゃんで、立場や状況によってそれなりに威厳を増していくという人物だったように思います。
政子は夫・頼朝が死亡する前に、ドラマで丹後局(鈴木京香)に皮肉られていた長女・大姫(南沙良)を亡くし、頼朝の死から半年後には次女・三幡も病没。長男・頼家と次男・実朝は暗殺されてしまう。その後、孫にあたる頼家の子・公暁(寛一郎)や一幡らも次々に殺され、政子の存命中に生き残ったのは孫娘ひとりだけでした。
そういう意味では、政子はとても可哀想な女性。ドラマでは頼朝が死んだばかりですが、これから政子は次々と悲劇に見舞われることになる。そうした中で、政子のキャラクターも変貌していくのかもしれません」
政敵を倒し続けた政子は「尼将軍」と称され、朝廷の権力者だった藤原兼子(シルビア・グラブ)と相まみえるなどして、幕府に君臨することになる。
「政子は夫・頼朝の死後、当時の慣例に従ってすぐに出家しているので、ドラマ内でも近いうちに小池さんが“尼削ぎ”というオカッパのような髪型で尼さんの格好になるのではないでしょうか。
のちの承久の乱で御家人たちを奮い立たせ、義時の死後も活躍する政子は、頼朝からバトンを受け継いだこの時代の主役といえるでしょう」
後半戦は女たちの「生き残りレース」に注目だ。
(了。第1回から読む)
※週刊ポスト2022年7月22日号