国際情報

【プーチンと習近平】世界でもっとも危険なふたり プーチンをウクライナ侵攻へ駆り立てた父のトラウマ

父の遺影を掲げて行進するプーチン氏(写真/ロイター=共同)

父の遺影を掲げて行進するプーチン氏(写真/ロイター=共同)

【プーチンと習近平・連載第4回】習近平が父親に対して抱いた複雑な想いが今日の彼に影響を与えたように、プーチンもまた、父親の影を引きずっていた――。ジャーナリスト・峯村健司氏がレポートする。(文中敬称略。第1回から読む)

 * * *

もっとも尊敬する人

 2019年1月22日、モスクワのクレムリン(大統領府)。ロシア大統領のウラジーミル・プーチンは執務室に日本の首相、安倍晋三を招待した。プーチンはあいさつもそこそこに、執務室の奥にある小部屋に安倍を招き入れた。

「私の休憩室です。どうぞ入って下さい」

 安倍が通された部屋は、プーチンが仮眠をとったり本を読んだりする時に使うプライベートな空間だった。側近にすら入室を許したことはほとんどなく、外国首脳を招客したのは、極めて異例だった。

 そのおよそ2か月前のシンガポールであった首脳会談で、歯舞群島と色丹島の2島を引き渡すことが明記された1956年の日ソ共同宣言を基礎に、平和条約交渉を加速させることで合意した安倍を厚遇したようだ。

 安倍が休憩室に入ると、男性の肖像画が目に入った。その人物について安倍が尋ねると、プーチンは目を細めて説明を始めた。

「これは私の父の肖像画です。もっとも尊敬している人物の一人です」

 27回の首脳会談をした安倍は、プーチンと父との関係についてこう振り返る。

「雑談の中で父親との思い出話をよくしていました。『優秀な潜水艦乗りだった』と誇らしげに話していたのが印象に残っています。『私が信頼を置く人物は、自分の父親を尊敬している人です』とも言っていました」

 プーチンの父親とは、どのような人物なのだろうか。

 ロシア大統領府のホームページには、「父のウラジーミル・スピリドーノヴィチ・プーチンは、第2次世界大戦でレニングラード(現サンクトペテルブルク)の防衛に参加し、傷痍軍人となった」とだけ書かれている。

 公開情報はほとんどないが、プーチンが自らのインタビューをまとめて2000年に出版した『第一人者』(邦訳=『プーチン、自らを語る』扶桑社)の中で、出自について詳しく説明している。

 プーチンの祖父は料理人だった。ソ連を樹立したウラジーミル・レーニンと、その後任のヨシフ・スターリンの別荘で働いている。2代のソ連の指導者に料理人として仕えたことから、忠実な共産党員だったことがうかがえる。

 父、ウラジーミル・スピリドーノヴィチ・プーチンは、海軍の潜水艦乗組員として兵役についた。復員後はソ連第2の都市レニングラードの車両製造工場で勤務した。1941年、ナチス・ドイツがソ連に侵攻すると、志願兵として前線に出征した。諜報活動をする内務人民委員部の部隊に所属し、ドイツ軍の背後で鉄道やインフラを破壊する特殊任務に携わった。後にプーチンが、ソ連の秘密警察、国家保安委員会(KGB)の諜報員になったのも、父の影響があったのだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
優勝11回を果たした曙太郎さん(時事通信フォト)
故・曙太郎さん 史上初の外国出身横綱が角界を去った真相 「結婚で生じた後援会との亀裂」と「“高砂”襲名案への猛反対」
週刊ポスト
伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン