サートゥルナーリア産駒ラルケットの2022(写真/日本競走馬協会)

サートゥルナーリア産駒ラルケットの2022(写真/日本競走馬協会)

 今年のセールではまだ産駒がデビューしていない種牡馬の子にも人気が集まった。レイデオロ産駒はすでに1歳馬がクラブでも募集されたが、社台・サンデーでは合わせて4頭のみ。クロノジェネシスの半妹でも募集価格6000万円とまだ常識的だったが、セールではステルヴィオの弟にあたる1歳ラルケットが2億2000万円、当歳馬はノーザンファームの3頭だけだったがすべて8000万円以上だった。こちらも人気になりそうなラッキーライラック、デアレガーロ、リナーテがそれぞれ牝馬を生んでいる。

 今年の当歳最大の目玉はサートゥルナーリア産駒。エピファネイア、リオンディーズを兄に持つシーザリオの忘れ形見で父がロードカナロア。現役戦績が10戦(6勝)のみと種牡馬としての期待は高まっていた。14頭が上場され最高3億円を始め総額約13億円を売り上げた。メジャーエンブレムが牡馬を、ローザブランカ、アメリが牝馬を送り出しており、来年のカタログを彩ることになる。

 その他まだ産駒がデビューしていないブリックスアンドモルタル、ニューイヤーズデイやナダルにシスキン。日本馬ではアドマイヤマーズやルヴァンスレーヴなども幅広く買われていた。2024年から中央馬にも「ダート三冠」路線が敷かれることも影響しているのだろう。来年募集馬ではアロマティコやチェッキーノがブリックスアンドモルタル、フーラブライトがルヴァンスレーヴと実績ある繁殖牝馬が新しい種牡馬の子を生んでいる。

 ここ2年は「ディープロス」にコロナ禍もあったからか、大物オーナーの視線が実績ある種牡馬の産駒に集まっていた印象があった。しかし、今年はむしろ未知の魅力への期待感が支配、種牡馬の勢力図も新たな時代に入ったのかもしれない。これからの競馬がますます楽しみになってきた。

●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。

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