1993年に安倍氏が父・晋太郎氏の地盤を継いで衆院議員に初当選して以来、昭恵さんは、彼女なりに政治家の妻として選挙活動の支援や地元後援会との交流に励んできた。
「晋三さんは祖父が岸信介元首相、大叔父が佐藤栄作元首相という華麗なる政治家一家で、昭恵さんは安倍家のルーツについても熱心に勉強していました。2017年には“すべてがご縁”として、安倍一族の先祖が身を投げたとの言い伝えがある山形県長井市の三淵渓谷を訪れ、手を合わせました。ただし彼女が安倍家の歴史に興味を持つのも、晋三さんがあってこそでした」(前出・昭恵さんの知人)
「出ていけ」と言われたら出ていくしかない
昭恵さんの「居場所」にとって大きな意味を持つのは、東京・富ヶ谷にある自宅だ。
「およそ1140平方メートルにおよぶ広大な土地に建つ3階建てマンションで、1〜2階に晋三さんと昭恵さん、3階に晋三さんの母の洋子さん(94才)が住んでいます。実はこの土地は、洋子さんが4分の3、晋三さんの兄の寛信さんが4分の1を所有しています。安倍夫妻の“持ち家”ではないんです」(前出・安倍家の知人)
一般的に、子供のいない夫婦が、夫の親が所有する家に住んでいるケースで、妻が夫に先立たれたらどうなるのか。夢相続代表で相続実務士の曽根恵子さんが指摘する。
「夫に所有権がない場合、先立たれた妻は権利上その家に住み続けることはできず、所有者に『出ていけ』と言われたら従うしかありません。ただし実際には両者の話し合いで、義両親の介護をすることを約束し、その自宅に妻が円満に住み続けるケースが多々あります。また親と同居していないケースでは、妻の方が自分の立場を考えて自主的に出ていくことが多いです」
ここで気になるのが、昭恵さんと洋子さんの関係だ。
「もともと2度目のファーストレディーになった後、大麻容認発言や著名人との泥酔場面が報じられた昭恵さんを洋子さんは苦々しく思うこともあったでしょう。2017年2月に発覚した森友学園のスキャンダルでは、国有地の大幅値引きへの関与が疑われた昭恵さんが、騒動をものともせずフェイスブックの投稿などを繰り返したことで夫婦仲が冷え切り、お互いに離婚を考えたともいわれます。
洋子さんは嫁の軽率な言動で安倍家の信頼が失墜することを危惧して昭恵さんを何度も叱責しました。一方の昭恵さんが洋子さんを悪く言うことは一切なかった」(前出・安倍家の知人)
こうした緊張感のある関係だけに、昭恵さんが洋子さんと共に自宅に住み続けることは簡単ではない。