D介:同感です。そもそもインフルエンザであっても、体が衰弱している高齢者は、抗ウイルス薬や抗生剤を使っても助からないことがあります。比較してコロナが特にひどいとは思えません。デルタ株までは若者でも重症の肺炎に罹患することがありましたが、いまは違う。
A男:私もインフルエンザと差があるようには思えないというのが正直な印象です。私はリウマチや膠原病などの自己免疫疾患が専門ですが、こうした基礎疾患を持っている患者さんでも、オミクロンに感染して重症化することはまれです。C夫先生の総合内科には、重症の患者さんがいますか?
C夫:総合内科専門医の立場からしても、いまのウイルスは明らかに弱毒化しています。オミクロン株以降、重症の人はほとんどいません。「これまでにない症状」として喉の痛みや発熱を訴える患者さんもいますが、慣れない症状に戸惑っているだけの人も多く、自宅療養すれば回復するレベルです。
だからぼくは、この状況で抗原定量検査はまだしも、PCR検査をし続け、陽性判定が出た患者を隔離するいまの診療方法自体、間違ってるんじゃないかと思ってるんです。
A男:微熱だからと検査したばかりに陽性となって、長期入院を強いられている高齢者も多いですよね。
B子:うちの病院でも基礎疾患があってコロナは陽性だけど症状は微熱程度の高齢者が、ベッドで一日中寝ている光景をよく見かけます。
A男:あれはまずいですよね。病床が埋まったり人手が足りなくなったりする医療逼迫の問題以前に、患者本人にとってデメリットが大きい。どんなに元気でもコロナ陽性だと院内感染を防ぐ必要があるため満足なリハビリができず、高齢者はみるみる衰えていく。
D介:しかも陽性判定が出ると、過去の感染の名残が出ているだけかもしれないのに、手術や治療を予定していても延期せざるを得なくなる。それから、うちはPCR検査能力に比較的余裕があるから、患者はもちろん職員も何度も受けていますが、その結果1日に20〜30人ほど陽性判定が出て、病院業務を休む人が続出。常に人手不足です。ただ、PCR検査は単価も高いですし、すればするほど儲かるというのが病院の本音です。
鳥集:陽性者の増加はしばらく続きそうですね……。
ワクチンの効果は机上の空論
〈2021年4月、高齢者への優先接種を皮切りに「感染拡大防止のため」をスローガンに約1年半にわたって全国で推奨されてきた新型コロナワクチン。その効果を現場の医師はどう感じているのか〉
C夫:毎日50人以上の患者を診ているぼくの体感から言いますと、いま病院に来ている陽性者の9割は3回目まで接種しています。
B子:私のところの入院患者も、一度も打っていないという人はごくわずか。8割以上が3回接種していて、残りのほとんども2回までは打っている。
A男:そうなると現場としては、「打つことが感染拡大を防止する」という説には首を縦に振れませんよね。公衆衛生の専門家は、臨床試験データを根拠に「ワクチンは効く」と主張する。しかし、現実の社会はあまりに複雑で、臨床試験データのような“理想的な環境”なんてどこにもない。ワクチンの効果は理想論としか思えないんですよ。