決勝戦で敗れた下関国際ナインにも惜しみない拍手が贈られた(時事通信フォト)

決勝戦で敗れた下関国際ナインにも惜しみない拍手が贈られた(時事通信フォト)

下関国際ベンチは1人を除いて県外出身

「1980年代までは太田幸司、バンビ坂本(佳一)、荒木大輔、愛甲猛、桑田、清原などが甲子園と共に成長していき、優勝もしくは準優勝チームのエースや主軸が『甲子園スター』になった。1990年代以降はそういう例が少なくなっていた。松井秀喜など大物はいましたが、決勝まで勝ち上がれなかった。

 また、視聴率低迷の理由にいわゆる『野球留学』を挙げる識者もいます。県外から野球の上手な生徒を入学させ、甲子園に出場する強豪校も少なくない。チームの大半が野球留学者になると47都道府県の代表制の意味が薄れ、郷土愛を持つ地元の人が応援しなくなったという見方です」

 2006年夏、久しぶりに日本中が甲子園に熱狂した。早稲田実業の斎藤佑樹と駒大苫小牧の田中将大が投げ合った決勝戦、引き分けとなった1戦目(8月20日日曜)は29.1%、翌日の再試合(8月21日月曜)は23.8%と大台を超えた。

「斎藤佑樹は群馬、田中将大は兵庫の出身です。いずれも野球留学ですが、驚異的な視聴率でした。単に『県外』という点に着目すれば、横浜高校の松坂大輔も東京の江戸川区で育っています。

 今年の仙台育英はほとんど東北出身の選手ですが、準優勝の下関国際のベンチ入り選手は1人を除いて全て県外出身で、主戦投手の2人とも中国地方出身ではない。それでも、山口地区で試合前半は28.7%、後半は25.1%も取っている。ですから、野球留学生の多さが高校野球の人気低迷に繋がったという主張は当てはまらないのではないでしょうか。

 2018年の金足農業や今年の仙台育英のように地元出身選手で勝ち上がれば、より盛り上がる傾向はあるでしょうけどね。今も野球留学について否定的な意見はあり、県大会で野次を飛ばす観客もいるようですが、この視聴率を見る限り、一部の人だと思います」

 野球留学生は過疎化した町に移住し、経済的にも貢献する。甲子園に出場して勝ち上がれば、町が全国から注目される。地域に貢献度は高いと言えるかもしれない。

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