「これは私の専門外なので一般人の意見として言わせてもらいますが、日韓関係を考えたら10兆円も出してトンネルで繋がりたいか、という意見もあるでしょう。調べてみましたが、なぜか日韓トンネル構想は日本側が言い出したことになっていて、韓国は仕方なく繋がってやるという姿勢のようです。費用面でも日本が不利な条件で、お花畑な日韓友好で血税を出すわけにはいかないでしょう」
前述のようにそれを出したがっている、出したがっていた日本の政治家がいることはともかく、現実的にはそうした反対の声も大きいだろう。費用の負担面でも韓国側が3割、日本側が7割(8割案も)など、なぜか日本の負担が多い計画案が多い。それなのに韓国与党の「共に民主党」は「日本だけに有利な事業」(中央日報、2021年2月8日)として、日本が通したがっているという体にしている。
確かに戦前、大東亜縦貫鉄道という日本と朝鮮半島を結ぶ計画があったが、それは朝鮮半島が日本領で中国の一部も日本の傀儡政権である満州国だったからこそ自国領および属国をつなぐ意味があったわけで、そんな大昔の話を持ち出して「日本がトンネルで韓国と繋がりたがっている」という体をとられても反対する人たちにとっては迷惑な話である。また韓国と北朝鮮はいまだに「休戦」状態である。トンネルとはいえ地続きとなると日本の防衛体制も再構築しなければならない。
本当に10兆円でおさまるのか
「あと技術的な面ですが、先ほど日本の技術なら『可能』とは言いましたが大変な作業であることは事実です。途中に有用な島を挟むとはいえ青函トンネルの4倍の長さですからね。水深200mの箇所もありますから新たな工法が必要となるかもしれません。コロナ禍ですし作業員の数や安全を考えれば10兆円では済まないと思います」
この10兆円というのも古くから言われているもので、現在の鋼材、セメント材、アスファルト合材など建設資材の高騰をみればその金額で済むとは思えない。ましてやそれだけの大工事をするだけの見返りがあるか、結局のところそれに尽きるのかもしれない。アメリカやロシアにはベーリング海峡にトンネルを作ると称して資金を募る詐欺商法が古くからあるが、日韓トンネルもそれと同じとまでは言わないが、そのベーリング海峡トンネルと同様に「荒唐無稽」であることには変わりがないのかもしれない。
「日本のゼネコン、マリコンもそれだけの大きな仕事があれば受注したいでしょうし、施工管理者や作業員たちもやるからにはやってやる、とはなるでしょう」
巨大プロジェクトに夢を見るのは、技術者として当然かもしれない。
「でも日本の状況を考えれば『ほかにすることはないのですか』でしょう。福岡から釜山まで飛行機で50分とかですよ。関空なら1時間半、成田でも2時間半です。東京から博多まで新幹線で移動する人が少ないのに、日韓トンネル通したとして、東京から釜山、ソウルまで電車で行きますかね、物見遊山か一部のマニアでもなければ使わないと思いますよ」