また、『キングオブコント』(TBS系)の歴代王者やコント巧者を集めてシャッフルし、オリジナルコントを披露する『キングオブコントの会』も昨年6月と今年4月の2度放送。松本さん自身、民放で20年ぶりとなるコントに挑むなど、やはりチャレンジングな企画です。
さらに、お笑いオムニバス特番『お笑いの日』(TBS系)が今年も10月8日に放送されることが発表されました。こちらは新企画を含むさまざまなコーナーを8時間生放送する大型特番で、ダウンタウンが3年連続で総合MCを務めます。
特筆すべきは、これらがすべてコロナ禍に入って以降に放送された番組であること。世間が重苦しいムードで包まれる中、松本さんが笑いの可能性を広げる実験的な企画を次々に仕掛けていることがわかるのではないでしょうか。
コロナ禍に入ってからYouTubeをはじめ、やりたいことを自由に表現する芸能人が増えましたが、松本さんがこだわっているのは「テレビのお笑い」の可能性を広げること。芸人だけではなく俳優やアーティストなども巻き込んでいることも含め、その“松本人志ラボ”とも言える実験的な企画の数々がテレビと芸能人を活性化しているのは間違いないでしょう。
“松本人志一強”状態はまだまだ続く
松本さんが本当に凄いのは、レギュラー番組をしっかりこなしながら、特番で実験的な企画を次々に仕掛け続けていること。
ダウンタウンとして出演する『水曜日のダウンタウン』(TBS系)、『ダウンタウンDX』(読売テレビ・日本テレビ系)、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)と、単独出演の『ワイドナショー』(フジテレビ系)、『人志松本のツマミになる話』(フジテレビ系)を両立しているほか、今秋には『クレイジージャーニー』(TBS系)も復活します。
賞レースの『キングオブコント』と『M-1グランプリ』(ABC・テレビ朝日系)で審査員を務めて若手芸人と積極的に関わっていることも含め、これほど忙しい中で松本人志ラボが行われていることに驚かされます。
最後に『FNSラフ&ミュージック』に話を戻すと、松本さんの役割は中居正広さん、ナインティナイン、千鳥、アンタッチャブルを率いる「キャプテン」という立ち位置。『IPPON GP THE LIVE』以外のコーナーやトークの中でも、何らかの実験的な試みを仕掛けてくるかもしれません。
もし9時間にわたる生放送の中で新たな笑いが生まれるとしたら、その中心に松本さんがいるのではないでしょうか。今回、松本人志ラボをまた一歩進めることで“松本人志一強”状態はまだまだ続きそうです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。