国内

五輪汚職、IOC裏工作疑惑が再燃 「元電通・元総理・旧皇族」の切っても切れない関係

特捜部の事情聴取を受けたという竹田前JOC会長(時事通信フォト)

特捜部の事情聴取を受けたという竹田恒和前JOC会長(時事通信フォト)

 止まることを知らない五輪汚職事件。いったい東京地検特捜部が目指す“本丸”はどこなのか。新たな大物の名前が浮上した。ノンフィクション作家・森功氏がレポートする。(文中敬称略)

 * * *
 森喜朗(85)に加え、日本オリンピック委員会(JOC)前会長の竹田恒和(74)が、東京地検特捜部の任意聴取を受けていたという。特捜部に逮捕された大会組織委員会元理事の高橋治之(78)の受託収賄容疑に関しては、すでに贈賄側としてAOKIとKADOKAWAの2ルートが摘発された。うちKADOKAWAルートについては、9月27日が最初の元専務芳原世幸と五輪担当室長だった馬庭教二の勾留期限であり、捜査はそこでいったん節目を迎える。つまり、ここから特捜部の捜査は次のステージへと向かう。

 特捜部のさらなるターゲットは2つの広告代理店ルートだとされる。一つは高橋が1400万円を手にしてきた中堅の「大広」ルート、そして電通、博報堂に次ぐ3番手の大手「ADKホールディングス」(旧アサツーディ・ケイ)ルートである。捜査関係者がこう指摘する。

「大広は大阪発祥なので、大阪地検特捜部で調べが進んでいるようです。この先捜査が広がりそうなのは、むしろADKルートでしょう。こちらにはJOCの竹田前会長や政界の大物の影がずい分ちらつきますからね」

 旧皇族である竹田と高橋の交友は、改めて紹介するまでもない。高橋、竹田ともに兄弟そろって慶大卒の坊ちゃん育ちだ。高橋にとって竹田は4歳下の後輩にあたり、竹田の実兄は慶大法学部の同級生である。

 高橋兄弟をよく知る元労相の山口敏夫は、高橋治之のことを「ハチ」、弟の治則(元イ・アイ・イ・インターナショナル社長。故人)を「ノリ」と呼んできた。山口に尋ねてもハチの由来は判然としないが、親しい友人たちは治之をハチではなく「タコ」とアダ名してきた。友人の一人はこう笑った。

「顔が何となくタコに似ているからだと思いますが、ハチはタコの足から来ているのかも」

 高橋の古い友人であるJOC前会長の竹田は、今も日本馬術連盟の副会長だ。今回の五輪汚職では、連盟が選手強化費として高橋経由でAOKIマネーの数千万円を受けていることが早くから明るみに出た。さらにここへ来て、駐車場経営の「パーク24」の大会スポンサー契約が注目されている。それがADKルートだ。

 パーク24は総監督の吉田秀彦率いる柔道部が活躍し、竹田自身、会社の社外取締役になっている。東京五輪では高橋の古巣である電通がほとんどのスポンサー契約の窓口となってきたが、ことパーク24のスポンサー契約に関しては高橋がADKを使うよう、電通や組織委にねじ込んだという。

 ADKは高橋に対してひと月50万円のコンサルタント料を支払ってきた。それが贈賄にあたるかどうか。結果、組織委から手数料として3500万円を得たADKは、特捜部の家宅捜索を受けている。

 旧皇族の竹田と元電通の高橋、さらに元首相にして五輪大会組織委員会会長の森を加えた3者は、切っても切れない関係がある。それだけに特捜部が関心を示すのは無理もないのである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン