西武・森がFA宣言しても「巨人の水に合うかどうか」
DeNAからの移籍組が解雇、育成契約と人生のターニングポイントを迎えているが、そもそも近年の巨人のFA補強戦略が、上手くいっているとは言い難い。
「原監督の第2次政権が終わり、高橋由伸監督に代わった2015年のオフ以降、出戻りの脇谷亮太を含め9人がFAで巨人に来ました。しかし、期待通りの活躍を見せたのは山口俊と丸佳浩くらい。炭谷銀仁朗は始めから捕手陣の底上げ狙いで獲得され、若手投手の成長に一役買って、役割を果たしたと思います。他の選手は残念ながら結果を出せなかった」
脇谷はスカウトを経て来季から三軍内野守備コーチ、野上亮磨(西武から2017年オフ移籍)はスコアラーで球団に残っている。森福允彦(ソフトバンクから2016年オフ移籍)は九州方面で野球解説者、陽岱鋼(日本ハムから2016年オフ移籍)は今季アメリカの独立リーグに在籍し、炭谷は楽天でプレーを続けている。
「FA権を取得して移籍できる選手は現役生活の後半に差し掛かっており、大体30歳前後になっている。そのため、活躍できても山口俊のように2年くらいになってしまうケースが多い。森福は移籍前にソフトバンクで400試合近く投げていましたから、“勤続疲労”もあったでしょう。野上が巨人に来てから故障がちになったのも、同じような理由では。もちろん、FA選手の獲得で、他球団の戦力を削ぐという思惑もあるでしょうが、自チームの戦力となるかどうかは未知数な面も大きい」
今季、阪神の西勇輝投手(31)、西武の森友哉捕手(27)、日本ハムの近藤健介外野手(29)という大物がFA権を取得し、動向が注目されている。
「2年連続V逸の巨人は、宣言する選手がいれば狙いに行くでしょうけど、西や近藤は残留に傾きそうな感じがします。3年前に首位打者を獲得するなど『打てるキャッチャー』の森は原監督が最も欲するタイプでしょうが、性格が巨人に合うかどうか。今年は途中交代を命じられた後にロッカールームでキャッチャーマスクを思い切り投げつけて、右手人差し指を骨折している。井納や陽が巨人の水に合わなかった面もあったように、選手と球団との相性は大事ですからね。森が仮にFA宣言をすれば、自身がその辺も含めて熟考するでしょう」
巨人は2019年オフ、FA宣言した美馬学や鈴木大地の獲得を目指したが、いずれも他球団に奪われた。近年は巨人を熱望するFA選手も減少しているが、最近のFA移籍組の不発が巨人移籍を躊躇する原因になっているかもしれない。