小笠原道大(左)、ラミレス(右)らがクリーンアップを打つ時代も(時事通信フォト)

小笠原道大(左)、ラミレス(右)らがクリーンアップを打つ時代も(時事通信フォト)

移籍組の3人がクリーンアップを打つ時代

 巨人はそのオフに日本ハムから小笠原道大、横浜から門倉健をFAで獲得して2007年、5年ぶりの優勝を果たす。翌年はヤクルトから最多勝のグライシンガー、最多安打と打点王のラミレス、横浜から抑えのクルーンを獲得。2009年まで3連覇を果たした。

「この頃は3番・小笠原、4番・ラミレス、5番・李承燁と移籍組がクリーンアップを務めていました。中軸が安定していたため、2008年に高卒2年目の坂本勇人をレギュラーに抜擢できたという利点はありましたが、巨人の4番は川上哲治や王貞治、長嶋茂雄、原辰徳、松井秀喜と生え抜きが打ってきましたから、寂しさを感じるファンもいたでしょう。これで優勝できなかったら原監督は非難されていたかもしれませんが、3連覇を果たした。結果を出したので、このやり方でいいんだと思うようになったのでは」

 2010年、2011年は落合博満監督率いる中日にペナントを譲ってしまう。2年連続V逸のオフに横浜から4番の村田修一、ソフトバンクからエースの杉内俊哉を獲得し、翌年は日本一に輝いた。2013年のオフには広島から大竹寛、西武から片岡治大を獲得し、リーグ3連覇に結びつけた。

「もちろん戦力があっても勝てない監督はいるわけで、原監督の手腕あってこその2度の3連覇だったと思います。ただ、これだけFAで他球団から選手を獲得すると、『大型補強で勝った』と言われるのは仕方ない。3度目の就任となった2018年オフにも広島から丸佳浩、西武から炭谷銀仁朗をFA移籍させ、2連覇した。FAがなかったら優勝できていたかはわからないですし、原監督の足跡を振り返ると、どうしてもFAや大型補強という言葉はついて回る。今オフは西武の森友哉を狙いに行くと見られていますが、2002年の就任1年目のように若手を次々と抜擢して日本一になる姿を見たいファンも大勢いるのではないでしょうか」

 かつて〈現有戦力で戦うのが、監督の役目〉と語っていた原監督だが、今では大型補強がその代名詞となっている。原巨人を見続けてきたファンたちは、この変貌をどう受け止めているのだろうか──。

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