ライフ

渡辺徹さんの死因「敗血症」は身近で怖い感染症 高齢者、糖尿病患者などにリスク

岡田晴恵氏が「敗血症」について解説(イラスト/斉藤ヨーコ)

岡田晴恵氏が「敗血症」について解説(イラスト/斉藤ヨーコ)

 人間は様々な感染症とともに生きていかなければならない。だからこそ、ウイルスや菌についてもっと知っておきたい──。白鴎大学教授の岡田晴恵氏による週刊ポスト連載『感染るんです』より、「敗血症」についてお届けする。

 * * *
 渡辺徹さん(享年61)の訃報を受けて、「敗血症」という病気の質問を受けるようになりました。若い年齢で旅立たれたことで、「敗血症って何?」という疑問と怖さが多くの人の注意をひいたのだと思います。

 本来、私たちの血液は無菌状態です。そこになんらかの感染が原因で細菌などが入って来てしまうと、病原菌が血流にのって全身に拡がってしまい、重篤な感染症を引き起こすことがあります。

 まず、血液に病原菌が侵入した状態が「菌血症」でこの菌血症がさらに悪化し、全身に炎症が起こったり、さまざまな臓器の機能が損なわれるなどの全身症状が出た場合が「敗血症」です。つまり敗血症は最初に皮膚、呼吸器、腹腔内、血管内や胆道、尿路などの感染があって、それらの感染症をきっかけに二次的に重篤化して起こります。原因となる病原菌もさまざまです。

 症状としては38℃以上の高熱や36℃以下の低体温(体温が低くなる場合もあります)、心拍数が1分間に90回以上の頻脈、呼吸数が1分間に20回以上の多呼吸で血中の二酸化炭素量が少ないこと、末梢血白血球が1μリットル(マイクロリットル)あたり1万2000より多い、または4000未満などがあります。はじめは風邪のような発熱や震えがみられ、脈が弱くなり、次第に呼吸困難やチアノーゼ(皮膚や粘膜が青紫色になる)などがあらわれます。

 大事なことは菌血症の段階で治療を開始し、敗血症となったら、即座に集中的な治療を開始することです。治療が遅れればショックを起こして血圧が低下し、複数の臓器に障害を起こす「多臓器不全」を引き起こすリスクがあります。多臓器不全となれば、全身状態の悪化から死に至る可能性が高くなります。この冬、コロナ禍で医療が逼迫してくると、このような重大な感染症の治療が遅れる可能性もあり、それも心配ですね。

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン