芸能

「ずっと、歌をやりたかった」28年ぶり紅白の篠原涼子が語った“人生を変えた曲”への思い【独占撮り下ろしインタビュー】

(撮影/中村和孝)

28年ぶりにNHK紅白歌合戦に出場する篠原涼子(撮影/中村和孝)

「あの頃の私はまだ二十歳そこそこで、自分の人生でこんなにもたくさん、この曲を歌うなんて想像もつかなかったです」──今年、28年ぶりにNHK紅白歌合戦に出場する篠原涼子。初出場の時に歌った曲のセルフカバー『恋しさと せつなさと 心強さと 2023』でステージに臨む彼女の撮り下ろしインタビューが「週刊ポスト」で実現した。1994年にリリースされ、社会現象ともなったメガヒット曲について、篠原が感慨深げに振り返る。

「幼い頃から歌手になりたいと憧れて芸能界へ入って、でもソロでは勝負ができなくて。もがく日々に巡り合い、初めて自分の曲をいただけたと心が震えたのが、この曲でした。当時はまだ“『恋しさと~』を歌っている子”という以外は目立ったお仕事がなくて、この出会いがなかったらソロで歌う夢は叶わなかったと思います。

 話題になって全国いろんな場所で歌わせていただいた時は感動が止まらなかったなとか、急に忙しくなって寝る時間もなくなったのは大変だったけど嬉しかったなとか、自分の人生のひとときを貴重な時間に変えてくれたこの曲には感謝しかありません」

 1994年当時、『恋しさと せつなさと 心強さと』は劇場版アニメ『ストリートファイターII MOVIE』の挿入歌として起用された。ストリートファイターシリーズが今年で35周年を迎え、来年発売の『ストリートファイター6』の日本イメージソングとして同曲が再び選ばれたことで、小室哲哉がリアレンジして篠原が歌い直した『恋しさと せつなさと 心強さと 2023』をデジタル・リリース。今月にはMVも公開され、その中で小室との再会シーンも盛り込まれた。

「事前の打ち合わせや“作り”は一切なくて、再会の瞬間は完全なドキュメントです。ひさしぶりで何を話したらいいんだろうと思ったけれど、いざお会いしたらおしゃべりが尽きなくて(笑)。小室さんは全然、変わらなかった!」

小室哲哉が篠原涼子を抜擢した理由

 お互いを見つけてほほえみ合うふたりの姿とあわせて、MVにはリュウや春麗など、ストリートファイターシリーズの歴代映像も登場する。

「実は小室さん、ライブハウスで私を見かけて“春麗ぽい子がいる”って、抜擢してくださったんですって。そんな背景があったなんて、先日うかがうまで知りませんでした。若い頃は力強さを押し出していましたが、今回のセルフカバーでは強くなりたいと突き進むだけじゃなくて、内に秘めた芯の強さや“自分が抱えている何かを護るために私は戦うんだ”という、立ち向かう強さも表現できたらいいなって。戦う春麗も自分なりに描いて歌ってみました」

 大晦日の紅白へ向けての思いについても、こう語った。

「カラオケで必ずリクエストされて『恋しさと~』は歌い続けていましたが、歌手活動を続けることは叶わなかった。もうね、ずっとずっと……、歌をやりたかったんです。紅白のリハーサルでは、お客さんに歌を聴いていただく時はこんな幸せな気持ちだったなと、胸がいっぱいになりました。初出場では緊張感と慌ただしさに右往左往するばかりで記憶がちょっと飛んでいますが(苦笑)、今回は28年分の人生経験を重ねた大人の篠原涼子として、しっかりと舞台に立ちたいです」

 本番へ向けてボイストレーニングにも精を出す。夢の舞台へ導いてくれた大切な楽曲に恥じないよう、「今ある精いっぱいの自分で、見てくださっている皆さんへ届けたい」と、意気込んだ。

◆撮影/中村和孝 取材・文/渡部美也

関連キーワード

関連記事

トピックス

靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン