背番号15の境は「1番・投手」での先発も経験した

背番号15の境は「1番・投手」での先発も経験した

憧れの先輩は「根尾さん」

 前チームにおける攻守の要だった捕手の松尾汐恩は、1年秋の時期に西谷監督に遊撃手から捕手への転向を打診され、すぐにレギュラーになって飛躍を遂げ、2022年秋には横浜DeNAからドラフト1位指名を受けた。西谷監督は中学生だった松尾を視察に訪れた際に、偶然にもケガの正捕手に代わってマスクをかぶった松尾のプレーを目撃した記憶があった。

 選手の適性を見極め、その選手がもっとも活躍できるポジションを見つけていく。西谷監督がそうした慧眼を発揮するのは、主に下級生の時期だ。

「境も南も、上級生がいますから、レギュラーにはなれていませんが、自分たちの代になれば野手で定位置を掴む可能性は十分ある。今から可能性を狭める必要はない」

 もちろん、選手の希望をむげにはできない。

「平嶋に関しては、本人は『投手をやりたい』と話していたんです。彼には『もったいないぞ。練習時間を工夫するから、(投手か野手か)決めるのは早いんじゃないか』という提案をしました。すると本人も『両方やります』ということだった。投手だけの選手、野手だけの選手とは練習のやり方が違ってきます。毎日、ノックを受けて、ブルペンにも入っていたら大変ですから。『今日はノックには入らないでおこう』とか、そういう相談をしながら練習に参加させています」

 連覇に挑んだ11月の神宮大会で躍動した1年生は、境だった。2回戦のクラーク国際(北海道)戦では、7番センターでスタメン出場し、チームを6回コールド勝利に導く、公式戦第1号も放った。

「3番の(右翼手・)徳丸(快晴)を含め、1年生には何もプレッシャーをかけていません。神宮大会が終わってから、鍛えたいと思っている(笑)。思い切りの良さがふたりにはある。先輩をもっと脅かす存在になって欲しい」

 境は「野手と投手のどっちもやりたい」と二刀流を貫く意向を明かし、憧れの先輩として同じ岐阜出身のあのプロ野球選手の名を口にした。

「根尾さんです。根尾さんも投手と野手両方やっていた。尊敬しています」

 すると、横に座っていた西谷監督がツッコミを入れる。

「根尾は勉強もできましたが、こっちはあんまりダメです(笑)」

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