右から皇室に詳しい王室ジャーナリストの多賀幹子氏、ニューヨーク州弁護士の山口真由氏、国際政治学者の三浦瑠麗氏

右から皇室に詳しい王室ジャーナリストの多賀幹子氏、ニューヨーク州弁護士の山口真由氏、国際政治学者の三浦瑠麗氏

情熱ある政治家がいない

山口:私個人としては、天皇と皇室は「制度」であり、その方々が「生身の人間」と想像したくないという気持ちがあります。皇室の方々は菊のカーテンの奥にいて、決して私たちと同じ人間ではないと国民から思われているほうが、天皇制やその権威を保てるのではないでしょうか。

多賀:眞子さまは世間からそう思われるのが重荷だったんじゃないかな。

三浦:佳子さまもそうでしょう。だから一部で、「佳子さまは皇室から出たがっている」と報じられました。ただ、愛子さまがどう思っているのかはわからない。

山口:愛子さまはファッションでも流行をむやみに追わず世俗から離れて、まさに皇族はこうあるべきという感じに育たれた。それとの比較で、秋篠宮家の姉妹の強い自我というのは、お父様の教育方針でしょうが、現代女性としては素晴らしくても、皇族の教育としては賛否が分かれそう。

三浦:愛子さまと佳子さまは「結婚したら皇室から出る」と言われて育った。女性宮家が法制化されれば、それから生まれた女性皇族は「結婚しても皇室に残る」ことを前提に育つことになります。今は過渡期なので、女性宮家が認められても「結婚したら皇室から出る」選択肢を残してほしいと思うのは自然なことでしょう。

山口:でも今の時代、私たちの生活や感覚は欧米化して「家」の縛りから自由になる道を選べるけど、皇族は「家」から逃れられない。“皇室から出たいけど義務だから耐える”という佳子さまに十字架に架けられたイエスを見るからこそ、皇室という特殊な制度を支持できるのだと思います。

三浦:皇族の努力や忍耐が国民に伝わることで尊崇の念が生まれるのは確かだと思います。それでも皇室典範を改正しないと限界は目に見えているので、どう変えるのかが重要ですね。

多賀:その時はぜひ、女性も君主になれるようにしてほしい。女性が皇位継承権を持てば、皇室消滅の危機を回避できます。

山口:日本の皇室にこれだけ女の子ばかり生まれるなんて、制度そのものが悲鳴をあげているみたい。速やかに皇室典範を変えないと、私たちは皇室が徐々に衰退して、終わりに向かうのをただ見つめることになります。

三浦:残念ながら、強い政治力を持ってこの問題に情熱を燃やす政治家が見当たりません。他に選択肢がない状況にならないと今の政治家はリスクを負わないので、結局、今年も何も変わらない可能性が大きい。

多賀:だからこそ、もっと皇室が前に出て情報発信すれば、個々の皇族の方々の素晴らしさや魅力を国民が理解できるはずです。特に今の若い人が皇室に無関心で「皇室離れ」が進むなか、若い世代の関心を引くために愛子さまや佳子さま、悠仁さまの役割は非常に大事なので、どんどん発信してほしい。

(了。第1回から読む

【プロフィール】
多賀幹子(たが・みきこ)/1949年生まれ、東京都出身。ジャーナリスト。お茶の水女子大学文教育学部卒業。英米に10年以上在住。英王室を始め、女性、教育、海外文化などをテーマに取材、執筆、講演。近著に『孤独は社会問題』(光文社新書)。

三浦瑠麗(みうら・るり)/1980年生まれ、神奈川県出身。国際政治学者。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。株式会社山猫総合研究所代表。近著に『日本の分断』(文春新書)。

山口真由(やまぐち・まゆ)/1983年生まれ、北海道出身。NY州弁護士。東京大学法学部卒。財務省勤務を経て、2009~2015年、弁護士として法律事務所に勤務。現在は信州大学特任教授。近著に『「ふつうの家族」にさようなら』(KADOKAWA)。

※週刊ポスト2023年1月13・20日号

関連記事

トピックス

昭和館を訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年12月21日、撮影/JMPA)
天皇ご一家が戦後80年写真展へ 哀悼のお気持ちが伝わるグレーのリンクコーデ 愛子さまのジャケット着回しに「参考になる」の声も
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
《ジャンボ尾崎さん死去》伝説の“習志野ホワイトハウス豪邸”にランボルギーニ、名刀18振り、“ゴルフ界のスター”が貫いた規格外の美学
NEWSポストセブン
西東京の「親子4人死亡事件」に新展開が──(時事通信フォト)
《西東京市・親子4人心中》「奥さんは茶髪っぽい方で、美人なお母さん」「12月から配達が止まっていた」母親名義マンションのクローゼットから別の遺体……ナゾ深まる“だんらん家族”を襲った悲劇
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
1年時に8区の区間新記録を叩き出した大塚正美選手は、翌年は“花の2区”を走ると予想されていたが……(写真は1983年第59回大会で2区を走った大塚選手)
箱根駅伝で古豪・日体大を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈3〉元祖“山の大魔神”の記録に挑む5区への出走は「自ら志願した」
週刊ポスト
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
〈タバコに似ているとの声〉宮内庁が加湿器と回答したのに…秋篠宮さま“車内モクモク”騒動に相次ぐ指摘 ご一家で「体調不良」続いて“厳重な対策”か
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト
米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン