新井監督が赤い旋風を巻き起こす可能性
江本:今年は監督やスタッフ交代、FAにトレードで各チームの戦力が大きく変わるけど、順位予想はどう? オレは、パ・リーグはドングリ(横並び)になるとにらんでる。
中畑:やはりオリックスが本命で対抗がソフトバンクかな。オリックスは昨季、ソフトバンクに土壇場で粘り勝ったように、最後の最後までハラハラドキドキさせてくれる好チーム。勝負事で一番大事なのはあきらめないことで、その姿を見せないとファンはついてこないしね。
江本:ただオリックスは吉田(正尚)がメジャーに移籍して、メジャー挑戦を考えている山本(由伸)は代理人から「今季はほどほどに」と念を押されるかもしれない。巨人の菅野(智之)がポスティング移籍を控えたシーズンに手を抜いたのと同じ構図だね。
達川:吉田が抜けたオリックスには西武から打撃の良い森(友哉)が加入しました。打たれ始めたら適当になるけど、リードも上手いしね。ソフトバンクは千賀(滉大)がメジャーに行った穴が大きい。
中畑:セ・リーグは阪神が中心です。岡田監督の野球がうまくハマったら大爆発もあり得ます。
江本:オレもそう思う。年寄りが隅っこに追いやられる風潮のなか、12球団最年長監督の岡田にはぜひとも頑張ってほしい。
達川:カープは駒が揃っています。メジャー通算54本塁打のデビッドソンを獲得し、秋山(翔吾)や西川(龍馬)など野手陣、ターリー、栗林(良吏)ら投手陣も豊富で、坂倉(将吾)が扇の要。新井監督が赤い旋風を巻き起こすかもしれません。
中畑:あれっ、ちょっと待って。オレ、巨人のいい話したっけ?
江本:ひとつもしてない(笑)。実際、ジャイアンツはピッチャーに軸がなく、計算できるのは戸郷(翔征)だけで、キャッチャーも相変わらずの不安要素。期待の高卒ドラ1・浅野(翔吾)もバッティングフォームが大きすぎ、プロの投手相手では差し込まれるんじゃないか。
達川:ここは、坂本(勇人)の改心を待ちますか。
中畑:いい話をしようと言っているのに、どんどん悪い話になってる!
達川:まあ、江本さんが言うように、岡田監督誕生に刺激された原監督の奮起に期待しましょう。
江本:巨人阪神を中心に熱戦が続けば、プロ野球界が盛り上がる。巨人が強くならないとアンチは悪口も言えないから。
中畑:そうだね。では、強くて憎らしい巨人復活を願って対談を締めさせていただきます(笑)。
(了。第1回から読む)
【プロフィール】
江本孟紀(えもと・たけのり)/1947年、高知県生まれ。1971年に東映入団。1972年に南海へ移籍しエースとして活躍。1976年に阪神に移籍し、1981年の引退後は参議院議員、タレントとしてもマルチに活躍
中畑清(なかはた・きよし)/1954年、福島県生まれ。1976年に巨人入団。ムードメーカーの「絶好調男」としてチームを引っ張った。引退後は2012~2015年にDeNAの監督を務めた
達川光男(たつかわ・みつお)/1955年、広島県生まれ。1978年、広島に入団し正捕手として活躍。引退後は広島監督や阪神などでコーチを務め、ソフトバンクでヘッドコーチとして日本一に
※週刊ポスト2023年1月13・20日号