金庫があった部屋の壁に穴が開けられ、貴金属が奪われた宝飾店を現場検証する捜査員ら。2009年2月(時事通信フォト)

過去に強盗被害に遭った別の宝飾店。2009年2月(時事通信フォト)

「夕方頃、店内の工房で仕事をしていたら後方で『ガシャーン』と大きな音がして、振り向くと店頭のガラスが割られていました。

 急いで店外に出てみたら、割られたショーウィンドーに2人組の男が腕を突っ込んで商品を盗っていました。 黒っぽい上下の格好でフードにマスク姿でしたが、背丈は160センチあるかないかくらい。犯人と目が合い、まだ幼い中学生くらいだと直感で思いました。

 相手が子供でしたので、自分がその場から逃げ出すよりも、瞬発的に『おまえ! なにしよるんや!』と叫んで、取り押さえようとしました。1人は走って逃げて、残った1人とは揉み合いになりました。しかしハンマーで頭を殴打されて、倒れているあいだに少年を逃してしまいました。叩かれた右側の側頭部からの流血が止まらず、気づけば辺りは血の海。そのまま救急車で病院に搬送されました」

 スピード逮捕となり、店主は「犯人とは面識もないですが、身柄が確保されて少し安心しました」と語る。

「これまで危ない経験は何度かありましたが、強盗傷害は初めて。まさか幼い中学生に襲われるとは想定していなかったです。うちみたいなオーダーメイドの宝石店のものを盗っても素人では換金するのは難しいですから、知識のない少年たちの短絡的な犯行だったのかもしれません。

 いま、世間を騒がせている強盗事件の模倣犯なのかもしれませんが、14歳の少年が犯罪に手を染めるということはショックです。全国的に広がらないことを祈るばかりです。これを機にショーウィンドーを無くし、屋内だけの陳列にしてお店を縮小しようと思っています」

 県警は全国で起きている強盗事件との関連はないとみているが、犯行の経緯などの調べを進めている。

宝飾品など約3億円相当が盗まれた宝飾店の壁に開けられた穴。2010年1月、東京・銀座(時事通信フォト)

今回の事件とは別に、宝飾品など約3億円相当が盗まれた店の壁に開けられた穴。2010年1月、東京・銀座(時事通信フォト)

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