スポーツ

「不惑の大砲」門田博光さん 名選手と比べてわかる「42歳で31発」「40代で133発」の凄さ

門田博光さんが打ち立てた数々の偉業とは(写真は1988年。時事通信フォト)

門田博光さんが打ち立てた数々の偉業とは(写真は1988年。時事通信フォト)

「不惑の大砲」が成し遂げた偉業とは──。かつてプロ野球の歴史が語られる時、「王貞治は引退する40歳の年、ホームラン30発を放った」という話題が何度も繰り返されてきたが、その記録を大きく塗り替えたのが1月24日に逝去が報じられた門田博光さん(享年74)だった。

 1969年のドラフト2位で南海に入団した門田は2年目にレギュラーを奪い、打率3割、31本、120打点の好成績を上げて打点王を獲得した。身長170センチの門田は野村克也兼任監督にコンパクトなスイングを求められるが、あくまでホームラン打者を目指した。

「2リーグ分裂後、南海ホークスは黄金時代を築いてきたが、1969年に戦後初の最下位に沈みました。翌年から野村克也兼任監督が指揮を執ります。つまり、門田さんが入団した頃のチームは過渡期にあった。

 その野村兼任監督は1977年に解任された。次の年から、南海はダイエーに身売りするまで11年連続Bクラス、そのうち5回も最下位になりました。そんな弱いチームで、門田さんは歴代3位の567本塁打を打った。歴代2位で657本の野村さん、1位で868本の王さんは毎年のように優勝争いという緊張感の中でプレーしていた。門田さんはシーズン中盤には優勝の可能性がなくなり、観客も入らない中で黙々と打ち続けた。その点に凄さが窺えます」(スポーツライター。以下同)

 強打者を証明する指標のひとつに敬遠数がある。歴代1位の王貞治(巨人)の427は別格だが、門田は182で5位。その前後の4位は野村克也(南海、ロッテ、西武)の189で、6位は落合博満(ロッテ、中日、巨人、日本ハム)の160となっている。

「門田さんは7度のシーズンで、リーグ最多敬遠を記録しています。40歳で王さんを上回る44本塁打を打った1988年も20敬遠で最も多かった。しかし、翌年オリックスに移籍すると、わずか3つに減った。5番に石嶺和彦が控えており、勝負される回数が増えたからです。逆に言えば、南海時代は打線が弱いため、多く歩かされた。1980年代は6度も“敬遠キング”になっています。その中で、自分のバッティングを崩さず、ホームラン王を3度も取った。ちなみに、昨年三冠王を獲得した村上宗隆(ヤクルト)は141試合で25敬遠されましたが、1987年の門田さんは126試合で24敬遠でした」

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン