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誤嚥性肺炎の死亡者数はコロナ前より大幅増 自粛生活が要因になる可能性も

誤嚥性肺炎がコロナ前と比べて変化している(イメージ)

誤嚥性肺炎がコロナ前と比べて変化している(イメージ)

 伝説のテクノバンド・YMOのドラマーである高橋幸宏さんが1月11日、誤嚥性肺炎で亡くなった(享年70)。厚生労働省の人口動態統計によれば、2021年の誤嚥性肺炎による死亡数は4万9489人である。2021年のコロナによる死亡者数は1万6766人なので、誤嚥性肺炎による死亡は、実はコロナ死よりも多い。

 そもそも誤嚥性肺炎とはどんな病気なのか。ナビタスクリニック川崎の谷本哲也医師が解説する。

「健康な人であれば、唾や食べ物を飲み込むとき、気管や肺のほうに入らないようのどの所で蓋をする嚥下のしくみになっています。しかし、加齢によってのど周りの筋肉の働きが衰えたり、脳梗塞や神経筋疾患などで神経に損傷があったりすると、嚥下機能が弱まり、誤って食べ物や飲み物、唾液などと一緒に口の中の菌が肺に入り炎症を起こす。これが誤嚥性肺炎です。

 通常は多少異物が肺に入っても咳反射や免疫機能が働いて大丈夫なのですが、そういった身体の機能が衰えている人がコロナ禍で増えている。高齢の方に多い病気ですが、のどの衰えは早い人だと30~40代から始まっていると言われています」

 誤嚥性肺炎を発症する危険があるのは、コロナにかかった人だけではない。自らの身を守るための自粛生活が、この「死に直結する病」の罹患につながっている。みえ呼吸嚥下リハビリクリニック院長の井上登太医師が語る。

「自粛生活も長く続き、生活のペースをコロナ以前に戻せている人はほとんどいません。外に出ず、人に会わず、運動不足になり、気力や体力が落ちている人が多い。そうなると食欲も出ませんし、食べる力自体が弱まってしまう。

 独居や夫婦二人暮らしの場合は家に親族が来る機会も減り、日常的に会話する機会が減っている。声を出す機会がないと、のど周りや声帯の筋肉は衰えていく」

 男性の高齢者は1日の発語が少ない傾向があり、自粛生活はこれに拍車をかけているという。

 同様にみらいクリニック院長の今井一彰医師は、カラオケが敬遠されていることも原因のひとつと指摘する。

「クラスターが発生しやすいためにカラオケが怖がられて、歌を歌わなくなった高齢者が多い。しかし、発声には口、舌、顎、のど、声帯の動きが必要で、日頃から発声していないと、これらの動きを支える筋力が衰えて、嚥下力が弱くなります」

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