藤井:サプライズゲストの俳優さんは、この作品の中身を知って、「自分にはまだ声はかかってないけど、絶対に出たいんです」と言ってきてくれたほどです。さまざまな出演のオファーがひっきりなしの役者さんたちが、最初のオファーで出演を決めてくれました。こんなことは珍しくて、それだけ物語にパワーがあったってことなんです。
韓国ではバイオレンス作品でも国民的な大ヒットを何作も生み出しています。一方で、ドメスティックな空間でテレビドラマを作っている日本では、そのような成功例がないのが現状。人気漫画の原作もので、確実にヒットを当てることも大切だけど、表現を拡張する“ギャンブルな作品作り”もしていかないと、日本のエンターテインメントはどんどん遅れていく。(殺人シーンなどもある)今作がドラマ化にこぎ着けたのも、昨年、沖田さんと私でドラマ化したハートフルな『ムショぼけ』が評価されたことが大きかったです。
沖田:インターネット上のしょうもない情報に振り回されがちな世の中だからこそ、正しい情報で「先手」を取ることは大切。でも、情報は「決め手」にはならないんです。制作発表会見で森田さんは「情報よりも、目の前の現実を大切にする」とおっしゃいました。自分もその通りだと思います。実際に見たり、触ったり、味わったりした「感覚」こそがリアルで、それこそが、この情報化社会を生き抜く、最大の武器なのです。
「世の中が知らない、情報の向こう側にある、リアルな世界」を、この作品から感じ取ってもらえたらうれしいです。
※女性セブン2023年2月9日号