接種者

接種者の方が多く感染していた年齢が

 今年1月1日には米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」が、北米などで流行中のオミクロン株亜種「XBB」は、ワクチンを繰り返し接種した人の方がかかりやすくなるとの記事を掲載した。同紙によれば、ワクチンを3回以上接種した人は、未接種者の3.4倍、2回目接種者の2.6倍感染率が高くなるという。XBBは感染率が非常に高く、世界的な感染拡大を予想する声もあるだけに気になるデータだ。

 1月11日には、最も権威があるとされる医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」(NEJM)に驚きの論文が掲載された。筆者はFDA(アメリカ食品医薬品局)のワクチン諮問委員会のメンバーであるポール・オフィット氏。ウイルス学の権威であるオフィット氏はこの論文で従来型のワクチンとオミクロン株に対応する2価ワクチン(※従来型に由来する成分とオミクロン株に由来する成分の両方を含むワクチンのこと。日本では3回目以降のワクチンに該当)の効果を検証し、こう結論づけた。

「健康な若者には、2価ワクチンの追加接種は中止すべきである」

 小島さんが解説する。

「免疫学には『抗原原罪』という現象があります。過去に感染したウイルスと一部が同じ構造を持つ別のウイルスに感染すると、先に感染したウイルスの中和抗体は迅速に作られるものの、新しいウイルスに対する中和抗体は作られにくいというものです。

 つまり、2価ワクチンを接種しても、過去に感染したウイルスのタイプや最初のワクチンが対象とした武漢株に対する中和抗体が作られる可能性があるということ。オフィット氏はこの考え方を適用して2価ワクチンの追加接種の効果が薄いと指摘し、『若い人への追加接種は必要ない』と結論づけました。

 オフィット氏はアメリカの権威ある雑誌『タイム』にも登場し、『2価ワクチンは軽症のコロナの発症や感染も予防するとの謳い文句だが、それを支持する証拠はない』と断言しました。ウイルス学の第一人者によるそうした発言が『NEJM』や『タイム』という世界の一流誌に載る意味は大きい」

 世界でワクチンの見直しが進む中、官民挙げて「ワクチン推し」に励むのが日本だ。オミクロン株対策として政府が推奨する2価ワクチンについて、国立感染症研究所(感染研)は発症予防効果を71%と発表した。これに小島さんは異を唱える。

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン