世間体が悪く、あまりにも目立つ事件が続いたので、福島連合関係者はひどくナーバスで、火消しに躍起だという。元来、福島連合の親元である弘道会は反警察色が強く、警察に睨まれており、警察庁長官から、名指しで壊滅を指示されたこともあった。頂上作戦と呼ばれた昭和の暴力団取り締まりのように、福島連合単体で、北九州の工藤會同様、暴対法による特定危険指定をされる可能性もある。知人に対し、「携帯は警察に盗聴されている。迷惑がかかるとまずいので電話しないでくれ」と連絡してきた幹部もいるという。
警察庁の露木康浩長官はじめ、警察上層部は今回の連続強盗事件を重くみている。これまでのように、おざなりで捜査を終了するとは思えない。
すでに警視庁関係者が北海道入りし、独自捜査を開始したという情報もある。もしそれが本当なら、おそらく道警は蚊帳の外に置かれているだろう。
今回、かなりの暴力団関係者に取材したが、その全員が「暴力団のイメージが悪くなるだけ。関係者全てを逮捕し、厳罰にして欲しい」と立腹していた。暴力団の眉さえひそめさせるのだから、犯人グループは四面楚歌に違いない。強盗致死は無期懲役もしくは死刑で、通常、犯行の指示役は殺人の実行犯と同様に重い処分が下される。「強盗王」を目指したのだとしたら、ルフィたちが支払う代償はひどく重い。
【プロフィール】
鈴木智彦(すずき・ともひこ)/1966年、北海道生まれ。フリーライター。日本大学芸術学部写真学科除籍。ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。主な著書に『サカナとヤクザ』『ヤクザときどきピアノ』など。
※週刊ポスト2023年2月24日号