ガンマナイフはヘルメット内に192個のコバルト線源を埋め込み、脳内のがん病巣だけにガンマ線ビームを集中照射させる放射線治療。開頭手術せず、病巣をナイフで切り取るような治療が行なえるため、この名が付いた。転移性脳腫瘍や脳内腫瘍(良性、悪性)、脳血管障害などの治療に積極的に利用されている。
「分子標的薬と定位放射線治療、どちらを先に行なえば生存期間が長くなるか比較研究されました。結果は先に定位放射線照射を行なったほうが生存期間は長いと判明したのです。脳を守りながら、転移性脳腫瘍の治療を行なうことで、がんが完治した症例もあります」(中川特任教授)
この治療は、あくまでEGFR遺伝子が変異している患者向けだ。遺伝子の変異がない症例に対しては定位放射線治療と抗がん剤を併用する治療が実施される。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2023年2月24日号