東尾修は謹慎処分が引退に繋がったか
過去には、重い処分を受けたスター選手もいた。松坂の事件発覚時の西武監督である東尾修は15勝を挙げてMVPを獲得した1987年12月、麻雀賭博の容疑で書類送検された。事態を重く見た西武は謹慎6か月間(オープン戦、公式戦の出場停止。キャンプなどへの参加は可能)、年俸25%減を決めた。開幕から約2か月半登板できない処分は、謹慎中に38歳になったベテランに大きな痛手となった。東尾は6月22日の阪急戦で復帰するも、ブーマーに2ランを浴びるなど4回途中6失点でノックアウト。謹慎期間が感覚を鈍らせたのか、この年の東尾は19試合で6勝9敗、防御率4.85と成績が振るわず、同年限りで現役を退いている。
「東尾の謹慎処分が結果的に引退に繋がったと考えられるため、その後のスター選手の処分が甘くなった面もあるかもしれません。スター選手の実力が落ちたり、欠場が長引いたりするのは、球団だけでなく球界の損失と考えている様子が窺えます。しかし、処分の重さが事件や騒動の内容ではなく、野球の実績によって決められるのは間違っている。仮に山川が不起訴になっても、西武は皆が納得する処分を下すべきです。
また、NPBやパ・リーグ連盟も制裁を課すべき案件ではないか。山川の問題は西武球団だけに留まらず、野球界全体にイメージの低下などの悪影響を及ぼしているからです。これで甘い処分を下せば、他の選手がまた同じような騒動を起こしかねない。球界や球団がその下地を作ってはいけない。解雇に至らないにしても、名ばかりの『無期限謹慎』ではダメでしょう。いつでも解除できる余地を残した甘い裁定ではなく、きちんと期間を設けるべきです」
球界はスター選手に甘いという体質を脱し、世間を納得させるような処分を山川に下せるのか。