令和の薩長同盟で倒閣へ
そんな小池氏にとっても「維新は願ってもない政治パートナーになる」と語るのは、元大阪市議で維新ともパイプがある政治評論家の藤川晋之助氏だ。
「小池氏の都知事の任期はあと1年。来年の都知事選で3期目を狙うとされているが、知事を続けてもその後の展望がなさそうです。そのため勝負に打って出ることはあり得る。
次の総選挙で大きな勝負に出るとしたら、定数増で増えた東京の選挙区に維新と組む形で出馬し、最終的には、小池氏がつくった都民ファーストの会と維新を合体させて政権奪取を狙うということはあるのではないでしょうか」
小池氏の総選挙への電撃出馬ありと見ている。今回の統一地方選で維新は東京都内の市・区議選で67人を当選させて東京進出を本格化させ、小池氏が率いる都民ファーストも都議26人、都内の市・区議44人を抱える。
維新と小池氏が組めば、東京と大阪という2大都市に強力な地盤を持つ、自民党を脅かす政治勢力ができあがるのは間違いない。
その小池氏は5月12日から「疲労が若干たまっている」と記者会見など公務をキャンセル、3日間静養して心配されたが、その後公務に復帰。16日には池袋駅・豊島園駅リニューアル記念セレモニーに『ハリー・ポッター』のコスプレで登場して復活ぶりをアピールした。
因縁ある両者が手を組む
だが、維新と小池氏にはこれまで共闘と対立を繰り返した歴史がある。前々回の2017年総選挙の際、小池氏は衆院解散と同時に旧民主党勢力を取り込んだ「希望の党」を結成して総選挙に挑み、自民党を大慌てさせた。この時、小池氏と維新は、「希望の党は維新の本拠地である大阪に候補者を立てず、維新は東京の候補者を取り下げる」という選挙協力を行なったが、小池氏の“排除の論理”(※注)が批判を浴びて希望は失速し、結果はどちらも敗北した。
【※注/もともとは1996年に結成した旧民主党への合流を巡って、一部の政治家の入党を拒否したことを指す言葉として使われた。2017年に「希望の党」代表の小池百合子氏が候補者を選別する意向を示し、「排除いたします」と発言したことで小池氏の“排除の論理”が批判を浴びた】
その後、両者は完全に袂を分かった。前回の都知事選(2020年)では維新が小池氏に対立候補をぶつけて対決、昨年の参院選でも小池氏が国民民主党と手を組むと、維新の松井一郎・代表(当時)が「数合わせの野合談合だ」と批判して連携を拒否し、今回の統一地方選では多くの選挙区で維新と都民ファーストの候補者が対決した。