芸能

なぜ火曜に10本も?連ドラが“大渋滞”してしまったシビアな事情

HPより

『ホスト相続しちゃいました』(公式HP)より

 今までこれほど同じ曜日にドラマが集中したことがあっただろうか。今、火曜日に放送枠が新設されるなどし、ドラマが“大渋滞”する事態になっている。なぜテレビ各局は火曜の放送を増やしているのか。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 今春、フジテレビ系の火曜23時台にドラマ枠『火ドラ★イレブン』が新設され、第1弾として『ホスト相続しちゃいました』(カンテレ制作)が放送されています。

 平日23時台は以前から、「民放各局が求める若年層が見やすい時間帯なのに、報道番組ばかりで見る番組がない」などの声が業界内外からあがっていました。また、「配信収入が期待できるストックコンテンツとして連ドラの価値が高まっている」という背景からドラマ枠を増やすという改編も理に叶ったものに見えます。

 しかし気になるのは、この新枠で火曜放送の連ドラが10作目になること。

 実際、今春はテレビ朝日が21時から『unknown』、TBSが22時から『王様に捧ぐ薬指』、NHKが22時から『育休刑事』と22時45分から『おとなりに銀河』(月~木曜の帯ドラマ)、テレビ東京が24時30分から『何かおかしい2』、フジテレビが24時35分から『バイバイ、マイフレンド』、TBSが24時58分から『私がヒモを飼うなんて』(17日で終了し、24日から『スイートモラトリアム』がスタート)、日本テレビが24時59分から『あいつが上手で下手が僕で シーズン2』、TBSが25時28分から『明日、私は誰かのカノジョ Season2』(MBS制作)が放送されています。

 しかも24時台で放送時間がかぶっているテレビ東京の『ドラマチューズ!』(24時30分~)と、フジテレビの『火曜ACTION!』(24時35分~)は、同じ昨年10月に新設されたドラマ枠。さらに半年さかのぼると、NHKの『夜ドラ』(月~木曜22時45分~)とTBSの『ドラマストリーム』(24時58分~)も昨春に新設されたドラマ枠です。

 これは毎クール35作前後の連ドラが放送される中でも断トツの多さですが、なぜ火曜ばかりこんなに増えていくのでしょうか。

実は昨年だけで5枠も増えていた

 まず現在の状況に至った経緯を掘り下げていきましょう。

 2010年代以降、火曜放送のドラマ枠で常にポイントとなっているのは22時台。長年フジテレビ(カンテレ制作)の連ドラが放送され、多くのヒット作を生み出していましたが、2010年春にNHKの『ドラマ10』、2014年春にTBSの『火曜ドラマ』が新設され、「22時台に連ドラが3作」という激戦区に一変しました。

 しかし、3枠そろって視聴率が低迷したこともあって、2016年春にNHKの『ドラマ10』が金曜22時枠に移動し、フジテレビ(カンテレ制作)も2016年夏で撤退。同年秋から火曜22時台のドラマ枠はTBSの『火曜ドラマ』だけになり、直後に放送された『逃げるは恥だが役に立つ』が大ヒットしました。

 火曜22時から撤退したフジテレビ(カンテレ制作)は火曜21時台に移動して放送を続けていましたが、やはり視聴率の低迷で2021年秋に月曜22時台へ再移動。これにより火曜21時台はドラマ枠が消滅しましたが、昨秋にテレビ朝日が新設して現在は3作目の『unknown』が放送されています。

 前述した4枠も含め、実は昨年1年間だけで、21時台に1枠、22時台に1枠、24時台に2枠、25時台に1枠の計5枠も増えていたのです。裏を返せば昨年、唯一増えなかった時間帯が23時台でした。その意味で今春に『火ドラ★イレブン』が新設されたのも、「ドラマ枠の数を見ると本当は火曜以外のほうがいいけど、23時台ならギリギリOK」という背景がうかがえます。

関連キーワード

関連記事

トピックス

(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン