頭を高くして低血圧を改善
放っておけば大きな病気につながりかねない低血圧。自覚したら、どう対応すべきか。
「残念ながら、高血圧に対する降圧剤のように血圧を上げる薬はありません。基本的に対症療法となります」
つまり、日常の見直しがカギになるということ。森川さんがアドバイスする。
「低血圧の人は食欲不振で食事がおろそかになる傾向があります。特に起立性低血圧は体重の減少で悪化するといわれているため、栄養バランスのとれた食事を1日3食とるようにしましょう。
また、塩分不足が低血圧を引き起こすこともあります。摂りすぎはよくありませんが、心当たりのある人は少し意識して味の濃いものを食べるといいでしょう。カフェインの摂取によって血圧が上がるというデータもあるため、食後にコーヒーを飲むこともおすすめです」
生活習慣の改善において、食事内容とともに着目すべきは「脚」。
「着圧ソックスを履いて脚に適度な圧力をかけることで、血流が改善し、立ちくらみやめまいが軽減されることがあります。
定期的な運動も血圧の安定に効果的で、なかでも第二の心臓といわれるふくらはぎを鍛えるといい。おすすめはウオーキングです。ふくらはぎは筋肉が多いので、鍛えることでより血液を循環しやすくなります。目安としては、1日1時間くらいを目指して歩いてほしい」
食事、運動とくれば睡眠も大切だ。ただし、時間や質ではなく「体勢」にポイントがある。頭部を少し高くして寝ることで脳を心臓よりも高い位置に保つことができ、寝ている間に血圧が下がりすぎず翌朝の低血圧を軽減するのだ。
「目覚めたらゆっくりと体を起こし、最初に脚や足首を動かすと、血流が促進されます」
昔からの体質だから、高すぎるよりは低い方がいい、など安易に考えがちな低血圧こそ日常生活に支障をきたす恐れがある。体からの重大サインを見落としてはならない。
※女性セブン2023年6月1日号