芸能

市川猿之助が率いる「澤瀉屋」初代の破門スキャンダル以来、絶えぬトラブル 修羅道をひた走る152年の歴史

澤瀉屋の152年の歴史

澤瀉屋の152年の歴史にはスキャンダルも

 歌舞伎の名門「澤瀉屋」で、歌舞伎史上最大の悲劇が起きてしまった──。5月18日の午前10時過ぎ、歌舞伎俳優の市川猿之助(47才)が自宅の半地下で倒れているところを発見され、緊急搬送された。2階のリビングでは父親の市川段四郎さん(享年76)と母親(享年75)が並んで仰向けで倒れており、母親はその場で死亡が確認され、段四郎さんは搬送先の病院で亡くなった。

「澤瀉屋」という屋号は、初代猿之助の生家が、オモダカという薬草を扱う薬屋だったことに由来する。名門ながら、梨園の中では比較的歴史が浅い澤瀉屋の歩みは順風満帆とは言いがたく、初代からトラブルに見舞われていた。

「成田屋一門に属していた初代猿之助は、正式に『市川猿之助』を名乗る前に市川宗家である成田屋の九代目團十郎から破門されています。1874年に、團十郎の許可が必要な『勧進帳』を無断で演じたことが原因です。初代は遊郭『澤瀉楼』などを経営しながら、許しを得るまでに15年以上の歳月がかかりました。一門の重要な資金源だったその『澤瀉楼』も、1911年に吉原遊郭一帯を襲った火事により、焼け落ちてしまいます」(歌舞伎関係者)

 苦難を乗り越えて続いてきた澤瀉屋の二枚看板は、「猿之助」と「段四郎」。なかでも猿之助は特異な存在だ。

「歌舞伎界にはさまざまな名跡がありますが、そのほとんどが一時は途絶えている。團十郎も、昨年十三代が襲名したことで約9年ぶりの復活となりました。勘九郎も、先代が勘三郎を襲名してからしばらく間が空いていた。しかし、猿之助は初代が名乗って以来、一日も途絶えたことがありません。しかも、一度も養子を取ることなく、血縁者が後を継いでいます」(前出・歌舞伎関係者)

 ただ、父から子へ継いできたわけではない。

「初代と二代目は親子に当たりますが、二代目と三代目(現・猿翁)は祖父と孫の関係。三代目の父が段四郎を名乗ったことによるものです」(前出・歌舞伎関係者)

 その三代目猿之助こと現・猿翁(83才)は、現代的で派手な演出を取り入れた『スーパー歌舞伎』の創始者として有名だ。プロデューサーとしての能力を発揮しながら、プライベートでも話題を振りまいた。

「舞台での共演をきっかけに女優の浜木綿子さん(87才)と結婚し、一男を設けますが、幸せな結婚生活は長くは続かず、息子が2才のときに離婚しています」(前出・歌舞伎関係者)

 その息子が香川照之(市川中車、57才)だ。

「離婚後、浜さんと復縁をさせようという動きが歌舞伎界にありました。浜さんも息子のために復縁を願っていましたが、猿翁はきっぱりとその可能性を否定。選んだのは、長年の愛人であった藤間紫さん(2009年没、享年85)との再婚でした。後に香川は猿翁と面会するものの“あなたは息子ではない”と直接言われたそうです。45年もの間、親子関係は断絶していました」(前出・歌舞伎関係者)

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン