「いやらしい意味ではなく、新しいものを作っていきたい」という想い
その社名に眉をひそめる向きもあるかもしれないが、高い理想を掲げていた。鳥羽氏はインタビューにこう答えている。
「料理人はクリエイターとしてもっと評価されるべきだと考えています。ただ、業界平均として給料が安いんです。それには仕方のない部分もあって、客単価と人数の上限が決まっているので、どんなに頑張っても収入が頭打ちになってしまいます。でも、『料理人って給料安いよね』とグチを言っているだけでは現状は何も変わりません。
なので、僕は『これからの“しょく”をつくる』というコンセプトのもと、2つの取り組みを始めることにしました。1つ目は、仲間と一緒に『Harenchi(ハレンチ)』という会社を立ち上げたこと。会社名の『ハレンチ』はいやらしい意味ではなく、既成概念にとらわれず新しいものを作っていきたいという想いを込めています」(飲食店ドットコムジャーナル、2018年5月2日の記事より)
自分の店を守るだけではなく、料理に関わる人々の社会的地位向上を目指す経営者としての一面も持ち合わせていた鳥羽氏。
同氏は、コンビニとのコラボ商品を開発したり、YouTubeで「最高のペペロンチーノ」や「失敗しないカルボナーラ」の作り方を流したりするなど、フレンチの伝統の枠から飛び出した活動をしていることから“フレンチの革命児”“料理界の革命児”と呼ばれている。YouTubeのチャンネル名は『鳥羽周作のシズるチャンネル』。食欲を誘うみずみずしさを表現した「シズル感」という言葉を採用している通り、YouTubeで同氏が作った料理はどれもおいしそうだ。再生数も1動画につき数十万回から200万回以上のものまである。
広末も、彼の料理で胃袋をつかまれたのだろうか。