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杉良太郎「寄席を通じて詐欺をなくす」41年越しの思い実現、次回は3倍のキャパで開催

「第一回 杉友寄席 落語家が詐欺を斬る」が開催

「第一回 杉友寄席 落語家が詐欺を斬る」が開催

「えぇい、詐欺女めっ」「そりゃあ、買い物上手というより、詐欺師だねぇ」

 なんてせりふが次々と飛び出す、ユニークな趣旨の落語会が6月5日に東京・お江戸日本橋亭で催された。題名は「第一回 杉友寄席 落語家が詐欺を斬る」。警察庁特別防犯対策監を務める杉良太郎が音頭を取り、特殊詐欺への注意喚起を促すイベントとして行われた。

 昨年の特殊詐欺被害額は370億8000万円。被害額で見れば2014年の565億5000万円をピークに減少しているが、前年比で見れば増加し、現状としては未だ悪質な特殊詐欺犯罪が全国で横行していることを示している。特別防犯対策監として被害者を出さないためには何ができるか…対策を日々重ねる中で、特殊詐欺撲滅のための広報啓発を目的として2018年に発足した警察庁の「ストップ・オレオレ詐欺47~家族の絆作戦~」(略称:SOS47)プロジェクトも牽引する杉は特殊詐欺の被害拡大を食い止めるべく、動き続ける。

 今回の企画がなぜ落語会なのかというと、そこには41年越しのある想いがあった。杉が明かす。

「『大江戸捜査網』に主演していた時代、共演者の古今亭志ん駒さんから若手の落語家の収入や稽古場不足の厳しい実情を聞いて、何か力になれないかと、自宅で『杉友寄席』を始めました。金銭的に恵まれなくても古典落語に熱い情熱を注ぐ二ツ目の落語家たちを応援したいと、1981年から10回、開きました。お客さんには十七代目中村勘三郎さんや江利チエミさん、政財界やスポーツ界の著名な皆さんにお越しいただきました。あまりに錚々たる顔ぶれがお客さんとして座っていらっしゃるので、“ここはどこだ!?”と二ツ目の若手が緊張して『え~』と言ったきり、下を向いてそのまま固まってしまったり。その杉友寄席を今回、41年ぶりに復活させたんです」

 復活したのは、寄席ばかりではない。1982年には「杉友寄席ぐらんぷり」が明治座にて催され、立川談志も観客として来場した。初代古今亭志ん五、春風亭愛昇、雷門助三、三遊亭小遊三、柳家小里ん、蝶花楼花蝶(七代目蝶花楼馬楽)が腕を競い合い、見事勝者となって賞金の100万円を勝ち取ったのは、雷門助三こと現・春雨や雷蔵。その雷蔵ら、杉友寄席でしのぎを削った面々が今回の寄席にかけつけた。

 SOS47のメンバーでもある警察庁特別防犯支援官の吉原朝馬も参加。朝馬もまた二ツ目時代に杉友寄席で鍛えられた、ひとりだった。

「寄席を通じて特殊詐欺をなくしていく」という杉の宣言のもと、この日は高座に上がった5名の落語家全員が詐欺にまつわる演目を披露。唯一、二ツ目で杉友寄席初参加の桂蝶の治が「壺算」を、そのあとは過去の杉友寄席経験者が続いた。金原亭馬生は「猫の皿」、雷蔵は「かつぶしまんま」、そして林家種平の「狸札」と続く中、雷蔵が枕として、先頃から世間を騒がせている特殊詐欺グループの逮捕劇に触れる一幕も。

「カンボジアやフィリピンなど、強盗はどうしてあっちのほうへアジトを構えるんでしょうねぇ?」

 と東南アジアと“盗難”をかけて、特殊詐欺被害の標的にされやすい高齢者が集まって満員となった会場をわかせた。

 寄席のトリを飾る演目には朝馬の“鷺(サギ)”ならぬ「詐欺に勝つ(喝!)」。

 ひったくりを生業とする男ふたりの掛け合いを通じて特殊詐欺の犯罪手口やその対処法を紹介する朝馬オリジナルの“詐欺防止落語”で、SOS47の活動を通じて各地で実演してきた。

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