日本は「手術日数」が世界一

日本は「手術日数」が世界一

 Sさん(41才)は30代半ばから子宮筋腫による生理痛に襲われた。あまりの激痛に筋腫を取る手術を望んだが「今後、出産予定がないなら子宮を全摘出した方がよい」と医師に言われて全摘手術に臨んだ。手術後、生理痛から解放されたと喜んだのも束の間、1か月もしないうちに更年期障害のような症状が出た。

「頭痛や腰痛、肩こり、足のしびれ、ホットフラッシュ、貧血……子宮がなくなってホルモンバランスが崩れたことにより、あげればキリがないほど不快な症状に悩まされ、ホルモン剤をのんでも全身が浮腫むだけ。本当に子宮を全摘する必要があったのか疑問です」(Sさん)

 便秘や冷え症、妊娠や出産などの影響で、女性に多いとされる「痔」にも注意したい。Hさん(45才)は切れ痔やいぼ痔を繰り返し、肛門科医のすすめで内痔核と脱肛の手術を受けた直後にかえって症状が悪化したという。

「まず便意を感じにくくなり、排便のタイミングがわからなくなった。便秘気味になったから下剤に頼ると、無意識のうちに漏らしたり、反対にトイレでいきんで腰を痛めるようにもなった。常に残便感があるようでモヤモヤします」(Hさん)

 痔の手術には「断りにくい」という事情もある。都内総合病院に勤務する外科医が言う。

「本来、出血がひどくて貧血になったり、いぼ痔が飛び出て激痛がある人でない限り、手術なしで治すことができます。しかしデリケートゾーンの病気のため他人に相談しづらく、医師が“切りましょう”と言えば断れない患者さんがほとんど。痔は不要な手術が行われやすい病気なんです」

 腹部に手術で穴を開け、チューブを入れて栄養剤を注入する「胃ろう」。終末期医療における栄養補給の1つだが、岡田さんは「高齢者への胃ろうは不要」と断じる。

「高齢者の延命処置として胃ろうの手術を行うのは日本ぐらいです。胃ろうは、胃の中に無理やり栄養を送るため嘔吐や誤嚥などを起こしやすく、窒息死や誤嚥性肺炎で命を落とす頻度が高くなる。人間の尊厳上、どうなのかと考えてしまいます」

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