(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

人工関節の効果はエビデンスがあやふや

 年齢を重ねるほど膝や腰、関節などに痛みや障害が生じやすくなるが、“手術ファースト”で考えるべきではない。

「人工関節にしないと将来、寝たきりになりますよ」

 趣味のマラソン中に膝を痛め、変形性膝関節症と診断されたKさん(65才)は医師にそう告げられて手術を決意。膝に人工関節を入れたが、後に痛みがぶり返した。

「手術前より痛みがひどくなり、薬も効かず、杖が必要になりました。担当医への不信感から手術したのとは別の病院を訪れると、“手術ではなくリハビリや投薬で処置できた”と診断されて愕然としました」(Kさん)

 人工関節の効果には岡田さんも疑義を呈する。

「膝の人工関節の効果はエビデンスがあやふやです。人工関節のメーカーがスポンサーになった調査では、人工関節手術で症状がよくなったと答えた割合が平均91%でしたが、スポンサーなしの調査では平均41%しかなく、データが疑わしい。体内に異物を挿入するため感染などを起こすリスクもあり、不要な手術は極力避けるべきです」

 ここにも医療側の思惑が隠れているようだ。神奈川県の総合病院に勤務する整形外科医が言う。

「人工関節は“一生モノ”ではなく、一度手術すると、その後数年ごとに入れ替え手術が必要になるため、病院にとって安定的な収入となる“ドル箱”です。病院の会議で“売り上げを増やすため、人工関節の手術を増やしたらどうか”との意見が出ることすらあります」

 20代後半から椎間板ヘルニアに苦しんだTさん(37才)は腰に爆弾を抱えており、趣味のバレエを続けるため2年前に腰の手術を受けた。Tさんが語る。

「手術後、背中からお尻にかけての痛みやしびれは緩和されましたが、体のバランスが取れなくなりました。医師からは“手術は体幹に影響しない”と言われたけど、現実には問題が出て、バレエが続けられなくなりました」

 医療ジャーナリストの増田美加さんは「腰痛は手術がマストではない」と語る。

「年齢を重ねると多くの人が腰痛に悩まされますが、実際に原因がわかるのは15%で、そのほかは原因不明です。手術をしても痛みがぶり返したり、別の部位が痛むこともまったくないとは言えません。場合によっては投薬や運動療法、物理療法といった保存的治療の方がリスクが少なく、患者に適しているケースもあります」

※女性セブン2023年7月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン