ふだんの彼女は化粧もしないで朝から子供たちのお弁当を作ってがんばっている、というようなことを言ってたけど、彼女が“いいお母さん”でいられるゆとりがあるときに、寝る間を惜しんで家事やお弁当作りをするのは勝手。でもそれを、「ふだんの彼女」と決めつけるのが私は気に入らないんだわ。彼女はフルタイムで働いている同世代のお母さんの100人分くらいの年収を得ているんだよ。良くも悪くも“並み”の人のわけがないじゃん。
まぁ、これはキャンドル氏に限った話じゃないんだけどね。
家庭観の雑な男の“理想の妻像”はみんなそう。化粧もしないで、誰よりも早く起きて家事をして、最後に寝る。都合のいいことに、令和の母はその合間に仕事もする。で、夫の自分は“家事を手伝う”と言って平然としている。そりゃあ、ないんじゃないの!
“恋の季節”がとっくの昔に終わった身だからわかるんだけど、女が人騒がせな恋をするときは決まっている。いままで作ってきた積み木の家を破壊して生き方を変えたいときよ。
夫に対する不満、あきらめ、絶望で、破壊のエネルギーがたまりにたまって、きっかけさえあればいつでも爆発したいという状態のときに、ヒョイと差し出されたマッチ棒が不倫の男。わらをもつかむ思いでつかんだ男が“わら”という言い方もあるね。
だから悪いことは言わない。いまはわが身を小さくして黙っていた方が後々の自由度が大きくなるよ、と私は心の中で広末涼子に語りかけたのでした。狂乱のときはいつか、なつかしく思い出すこともあるんだから。
【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。
※女性セブン2023年7月13日号