林要(GROOVE X 株式会社 CEO・代表取締役)

林要氏(GROOVE X 株式会社 CEO・代表取締役)

私たちの人生は降りられない高速道路を走るようなもの。まず生き延びることが大事

中野:喩えてみれば、人生は高速道路を走るようなもので、気づいたらハンドルを握って運転席に座っている。自分で選んだわけでもない車に乗らされて、皆がノンストップで走っている道路に放り込まれる。ルールもあらかじめ教えられているわけでもなく、周りを見てなんとか事故を起こさないように必死で運転し続けなければならない。勝手に出口を降りることも基本的には許されない。降りるのはいわば自殺のようなものでしょうか。たまにちょっとお休みしたい時はサービスエリアを使うのも良いけれど、ずっとそこにいるわけにもいかない。自分で選んだのではない道を、自分で選んだのではない車で、ゴールもよく分からないまま走らなければならないというハードモードのゲームをやっているような感じ。ローカルエリアごとにルールも違えば、そもそも自分の車の性能もよくわからない。誰から見ても高級そうな、すごい車に煽られたり、あっという間に抜かれたりして微妙な気持ちになった途端、その車が目の前で事故を起こしてクラッシュしたり……なんていうこともあるかもしれません。

林:人生はまさにハードな高速道路だと。

中野:この喩えでいくなら、私たちはあらかじめルールを習っているわけではないんですよね。誰しもが初めは免許すら持たない初心者です。周りの様子を見ながら、「こんなものかな」と探っていくしかない。スピードを出して走っている中で、止まってゆっくりルールを学んでいる時間の余裕もない。とりあえず事故にあわないよう判断を迅速に行わなければならないので、そうすると自分の前後や横の2、3台くらいしか参照できないということになるんです。

林:周りを見ながら、瞬間的にざっくりした判断をするしかない。

中野:ええ、人間はもっと自分のことを賢いと思っているかもしれませんが、人類の脳ってその程度の認知機能しか働かせられないものなんです。しかも、それが間違っているのか正しいのかをすみやかにチェックする機構すらない。
走りはじめはルールがわからなくて、誰もが不安です。でもだんだんコツが掴めてくると、少し安心してドライブを楽しめるようになってくるかもしれません。脳の機能が成熟してきて、人によっては周囲の2、3台よりもっと広い範囲を冷静に見渡すことができるようになったり、状況に応じて自分の行動を抑制したりすることもできるようになっていきます。

関連キーワード

関連記事

トピックス

高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
トランプ米大統領によるベネズエラ攻撃はいよいよ危険水域に突入している(時事通信フォト、中央・右はEPA=時事)
《米vs中ロで戦争前夜の危険水域…》トランプ大統領が地上攻撃に言及した「ベネズエラ戦争」が“世界の火薬庫”に 日本では報じられないヤバすぎる「カリブ海の緊迫」
週刊ポスト
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
新大関の安青錦(写真/共同通信社)
《里帰りは叶わぬまま》新大関・安青錦、母国ウクライナへの複雑な思い 3才上の兄は今なお戦禍での生活、国際電話での優勝報告に、ドイツで暮らす両親は涙 
女性セブン
東京ディズニーシーにある「ホテルミラコスタ」で刃物を持って侵入した姜春雨容疑者(34)(HP/容疑者のSNSより)
《夢の国の”刃物男”の素顔》「日本語が苦手」「寡黙で大人しい人」ホテルミラコスタで中華包丁を取り出した姜春雨容疑者の目撃証言
NEWSポストセブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン