■襲撃事件のきっかけになった「パーティでのトラブル」
「あの事件の2、3年前です。実は前田さんとは東京のタレントなど著名人が集まるパーティでお会いしてるんですよ。そこに前田さんがいたので僕からしたらチャンスだと思った。もちろん目上の方だと分かっているんで、僕は『西で格闘技イベントの代表をしているサップ西成です』と名刺を切ったんです。『アウトサイダーさんと対抗戦とかできたら面白いと思います』と話すと、いきなり『話があるならマネージャーを通せ』と座りながら言われて、めちゃくちゃ偉そうやったんです。それを横で聞いていた友人が、仕事上のトラブルで前田さんと揉めていて。それで友人が、『お前、誰にいうとるんじゃ』と前田さんと言い合いになったんです」
サップ西成はその格闘技大会の看板選手で、それ以前は地下格闘技『喧王』のチャンピオンでもある。『喧王』とは、2005年に日本で初めて誕生した地下格闘技イベントで、その3年後に『THE OUTSIDER』は産声を挙げた。
世間では2010年以降、関東連合が絡んだ事件が続発。その組織を模倣したとされる関西連合なる半グレが、大阪はミナミを拠点に暴れ回っていると広まったのは2012年前後のこと。「組織の大半は格闘技大会に出場した選手らで、恐喝などを繰り返している」とも在阪のメディアは報じていた。
「僕らが関西連合を作るとか、逆にそれ誰が言うたん、みたいな感覚です。名乗ったこともないんです。それに僕らの大会は団体ではなく、所属選手もバラバラ。警察が勝手に団体と括って、反社会勢力の認定をするとの噂も聞いてました。そんな中でうちの幹部が一般市民に暴行で逮捕されたと報道されましたが、幹部なんかおらんのです。うちの代表は僕で、女性社員を含めて4人です。当時、変な誤解があったらアカンから、関西のテレビ局や一般紙の取材をすべて受けたんです。1時間ずつ時間を割いて丁寧に説明したけど、取材終えて雑談してる時に、タバコ吸うじゃないですか。それを映像で使用されてしまった。確かに道端で喧嘩もしたこともある。だから、全部報道してくれと言ったんです。良いこともやってるんやし、それが何かすべて悪いような感じで言われて」
大阪の歓楽街ではその当時、彼らが恐れられていたのも事実である。関東連合のように部外者が勝手に「関西連合」の関係者を名乗って、ムーブメントになっていた。“半グレ”なる俗称が生まれたのもこの時代だ。
「下部の大会も含めると、出場した選手だけで年間150?200人が僕らの大会に参加した。そんな中でやんちゃをしていた子も確かにいます。僕の知らないところで僕らの仲間だと名乗ったり、ある時は僕自身に対して、見知らぬ人から『お前、サップ西成知ってんのか?』って喧嘩を売られたこともある。先輩から電話があって『絡まれて、今、お前の仲間だと言っているけど、来てくれるか』と言われて、行くと『お前誰や?』ってなるんですよ。(話を聞くと)当時、ミナミでたこ焼き屋をやっていたんですけど、『そこのたこ焼きを買いました』というだけ。『たこ焼き買ったら関係者か?』って怒るじゃないですか。僕らの大会のTシャツを購入して『所属や』とイキる奴もいた。勝手に言い始める子たちが増えて、それで2013年3月に格闘技大会を解散したんです」