「病院ではお医者さんに”コロナだねー”と言われ、痛み止めをもらっただけ。自宅内隔離も”気になるようだったらやれば”ということで、5類になってからはお医者さんが急に冷たくなったようにさえ感じました。一週間後、体調が良くなったらそのまま登校してよい、とも言われましたが、一週間後も頭痛やのどの痛みに悩まされ、結局翌週も自主的に休みました。学校側も”判断はお任せする”ということだったのでそのようにしたのですが、よかったのでしょうか」(中野さん)
5類へ移行したばかりの新型コロナウイルスだが、感染者がここに来て増え始め、すでに「第9波」に入っていると報じるニュースもある。しかし、感染しても、半年前と今では医師も、行政も学校でさえ、その対応が全く違うことに驚く人が後を絶たない。
コロナ感染した高校生の父親から無理な相談
「明日は試合、どうにかならないか。5類なのだから先生が太鼓判を押してくれれば何とかなるのでは、という相談はいくつもありますね。どうしていいのかお迷いの患者さんは多いです」
こう話すのは、千葉県内の開業医・横井あすかさん(仮名・40代)。つい最近も、高校生の子供がコロナ感染したという父親から、試合に出たいから何とかして欲しいという、無理な相談を聞いたばかりだ。同様の相談は、日を追うごとに増えている。
これまで、新型コロナウイルスは結核と同じ「2類」感染症に分類されていた。だが5類に移行された現在は、対応が大幅に変わり、様々な制限も解除された。この事は、新型コロナウイルス感染に過度に敏感な人、逆に全く鈍感な人、どちらにも誤解を与えている可能性があると指摘する。
「前者は、緩和自体が患者を見殺しにするものだと主張され、後者は単なる風邪と変わらないんだろうと軽視される傾向にあり、その差は広がっているように思います。実際、私が学校医を務めている学校では、お子さんのコロナ感染をた”たいしたことない”と隠して試合に出した親御さんがいたそうで、教員や保護者の間でもトラブルになっていました。医師としては法律通り、5類感染症としての扱いをしていくに過ぎないのですが」(横井さん)