ライフ

関東大震災を生き抜いた市民たち AIカラー化写真でよみがえる復興への道のり

「火煙を望む街角の混乱ぶり」。洋食店など商店が立ち並ぶ街頭で、もうもうと立ち昇る火災の煙を見上げながら混乱する人々。もの珍しいのか、興味津々の様子で少年がカメラを見つめている(所蔵元:国立映画アーカイブ)

「火煙を望む街角の混乱ぶり」。洋食店など商店が立ち並ぶ街頭で、もうもうと立ち昇る火災の煙を見上げながら混乱する人々。もの珍しいのか、興味津々の様子で少年がカメラを見つめている(所蔵元:国立映画アーカイブ)

 1923年(大正12年)9月1日 午前11時58分、神奈川県西部、深さ23kmで発生した関東大震災は、マグニチュード7.9、最大震度6を記録した。当時の震度階級は震度0から震度6までの7階級だったが、相模湾沿岸地域や房総半島南端の家屋の倒壊状況などから、実際には現在の震度7相当の揺れであったと推定されている。

 それから100年。オリジナルのフィルムをデータ化し、AIを活用した彩色技術によって色処理を行なうことで、未曾有の被害の実態がよりくっきりと浮かび上がる。

大量の映像が残された記録すべき国民的大事件

「浅草仲見世の焼跡」。浅草仲見世の焼け跡。奥には奇跡的に焼け残った浅草寺の宝蔵門と五重塔が見える。周囲を火に囲まれた浅草寺だったが、境内には数万という人々が逃げ込んできたという(所蔵元:国立映画アーカイブ)

「浅草仲見世の焼跡」。浅草仲見世の焼け跡。奥には奇跡的に焼け残った浅草寺の宝蔵門と五重塔が見える。周囲を火に囲まれた浅草寺だったが、境内には数万という人々が逃げ込んできたという(所蔵元:国立映画アーカイブ)

 近代日本の災害史に深く刻まれる未曾有の災害は、1923年9月1日に発生した。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、山梨県と広範囲で震度6を観測。台風の影響で強風が吹いていたその日、東京市では130か所以上で出火した。死者・行方不明者は10万人を超え、被災した住家は約37万棟におよび、明治以降の地震被害としては最大規模となった。

 当時撮られた記録映画をウェブ上に公開しているのが、映画の保存・研究などを手掛ける国立映画アーカイブだ。震災から100年を迎える9月1日までに、所蔵するすべての震災関連フィルムの公開を目指すという。

「鮮明な映像が大量に残されていることは、国民にとって関東大震災が記録すべき大事件だったことを裏付ける、何よりの証拠だと考えています」(国立映画アーカイブ客員研究員・とちぎあきら氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
19歳の時に性別適合手術を受けたタレント・はるな愛(時事通信フォト)
《私たちは女じゃない》性別適合手術から35年のタレント・はるな愛、親には“相談しない”⋯初めての術例に挑む執刀医に体を託して切り拓いた人生
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左・共同通信)
《熊による本格的な人間領域への侵攻》「人間をナメ切っている」“アーバン熊2.0”が「住宅街は安全でエサ(人間)がいっぱい」と知ってしまったワケ 
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン