国内

皇室版SP「側衛官」の知られざる任務 天皇・皇族方に寄り添うためスキーや水泳の技能向上が必須のケースも

天皇ご一家や皇族方の身辺警護は皇宮警察の「側衛官」が行う(時事通信フォト)

夏の静養のため那須塩原駅に到着した天皇ご一家。その“警衛”は皇宮警察の「側衛官」が行う(時事通信フォト)

 天皇ご一家や秋篠宮ご一家など天皇・皇族方の身辺を守る“皇室版SP”。社会部記者として長年皇室取材を担当してきた産経新聞の大島真生氏が、その知られざる任務について、歴史的背景や最新事情とともに解説する。

 * * *
「9月下旬にベトナムを訪問される秋篠宮ご夫妻にはもちろん経験豊富な『側衛官』が側につきます。現地大使館とも緊密に連携しながら身辺警備に万全を尽くす方針です」──警察関係者はこう語る。

 側衛官とは皇宮警察(皇警)本部護衛部に所属する皇宮護衛官のこと。一般の警察官でいうSP的存在で、言うなれば皇室版SP。SPは大臣など政府の要人らを“警護”する私服警察官で「一般的には警護と呼びますが、皇室については警察内部で“警衛”と言います」(前出の警察関係者)。

 ただ、仕事の中身はほぼ同じ。「警衛を担う皇警で身辺警備専門なのが側衛官で、側衛官は日本の警察権が及ばない外国にも天皇・皇族方に同行します。その点でも首相の外遊に密着するSPと同じ。皇室限定なだけです」(同)。もはや単なる筆頭宮家当主でなく皇位継承順位第1位の皇嗣となられた秋篠宮さまの外遊には、皇太子級の手厚い警備体制が敷かれるというわけである。

 護衛部には天皇ご一家と、天皇陛下が迎えられる国賓を守る護衛第1課、秋篠宮ご一家を中心に宮家が守備範囲の第2課、上皇護衛課の3つがある。実は側衛官にもランクがあり「各課長の下にそれぞれ側衛官の現場指揮役の『侍衛官』がいます。その下には侍衛官への登竜門的な『上席側衛官』が控えています」と元皇警幹部は語る。

スキー、乗馬、水泳まで

 側衛官は皇室の方々が出かける全ての場所で護衛に当たり、古代からある「内舎人」という呼称の雑役ら宮内庁職員も兼務する。天皇・皇族方のプライベートにも密着するため水泳や乗馬、スキーといったご趣味に付き合える技能も日々磨いている。

「『ヒゲの殿下』として親しまれた故寛仁さまのエピソードが、皇警では語り継がれています。寛仁さまは札幌冬季五輪の組織委に関わるなどスキーがお好きだったことで有名です。遺志を継がれた長女の彬子さまは日本プロスキー教師協会総裁。寛仁さまはよくゲレンデに滑りに行かれたため、側衛官もスキーのスキルが“必修課題”でした」(前出の元皇警幹部)

 こうした点もSPとよく似ている。谷垣禎一元財務相は自民党幹事長時代の2016年に自転車事故で瀕死の重傷を負ったが、乗っていた自転車はロードバイク。サイクリングウエアに本格的なヘルメット姿で毎日のように趣味で疾走していて、事故に遭った。

「SPも谷垣さんについていくのが大変で、サイクリングの鍛錬には余念がなかったそうです。故・石原慎太郎氏は都知事時代、たびたび海に泳ぎに行ってスキューバダイビングを楽しんでおり、SPには相当な水泳の技量が求められ、気に入られたSPが自主的にスキューバの練習をしていたと言われています」と警視庁OBは回想する。

 

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン