洗濯待ちの孔明とそれを見つめるKABE太人(宮世琉弥)(c)フジテレビ

洗濯待ちの孔明とそれを見つめるKABE太人(宮世琉弥)(c)フジテレビ

実写化にあたって気を付けた“リアリティ”

『パリピ孔明』は同名の人気マンガが原作。加えて、先にアニメ化もされて大きな話題となった。

「原作を読んでとても面白かったですね。認知度の高い作品を実写化するときは必ずと言っていいほど(原作と)比べられて、少しでも違っていると叩かれてしまう。だから、再現ではなく原作のディテールとは異なる部分もあるけれど、『こっちもいいよね』と思われるものを目指しました。もう衣装から原作とはひと味違うものもあるのはそれが理由です。

 アニメも通しで2回見ましたが、敢えて意識しすぎないようにしています。アニメなら自然に見られる表現も実写だと自然に見れないことも多いので。やっぱりテレビドラマにするにあたって、リアリティは重視したいと考えました。“孔明が現代の東京に転生してきた”という設定自体がウソみたいな設定なので、リアリティがないと見ていられなくなると思い、その設定の部分以外はできるだけリアルにしようとしました。

 たとえばドラマ第3話での、コインランドリーで洗濯中のジャージ姿の孔明がラッパーのKABE太人(宮世琉弥)に名を名乗る場面。あのシーンはマンガにもアニメにもありますが、孔明が『申し遅れました』と言うと、パパっとジャージ姿から厳かな正装に衣装が変わる。それはマンガやアニメ的な表現なので、ドラマではちゃんと孔明が着替える間を数十秒とり、そののち名乗っています。別に着替えが早いわけじゃないので(笑)」

衣装には“経年劣化感”を

 リアリティを出すためには、当然、孔明の見た目も重要だ。中国三国時代の人物が日本の現代にいるという異物感はありつつ、実在感がなければならない。

「当初は、孔明は昔の人だし、日差しの下にいることが多いだろうから肌は焼けていて、眉毛も太めで……って作り込んでいったんですけど、プロデューサーからもっとカッコよくしたいと(笑)。確かに向井さんとわからないくらいのレベルにまで行きそうだったので、そこのバランスは試行錯誤しました。

 衣装はコスプレにならないことが一番ですが、やっぱり質感が大切だと思います。Babymixには『経年劣化感を入れてほしい』と要望しました。

 だから、衣装の生地は結構破れてつぎはぎとかも入っていたり、頭巾も穴がボロボロ開いていたりするんです。綺麗に最初に作ったものをブチブチちぎったりしてダメージを入れて、昔、戦いの中にいた人なんだというリアリティを出そうと」

 孔明が被る頭巾(諸葛巾)が原作や史実よりもはるかに大きいのはBabymixのアイデアだという。襟や裾にも色のグラデーションが加えられており、孔明の存在感の大きさが表現されている。ドラマ撮影は真夏に行なわれたため「孔明役の向井さんは扇風機とともに移動してました(笑)」と振り返る。

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