芸能

【毎日約6時間の生放送】NHK『ラジオ深夜便』が愛される秘密 “変わらない安心”を届けることと、内容を毎日変える工夫

2020年3月の『ラジオ深夜便のつどい・30周年スペシャル』では、現アンカーが大集合した

2020年3月の『ラジオ深夜便のつどい・30周年スペシャル』では、現アンカーが大集合した

 深夜の約6時間、365日、生放送で全国に発信する『ラジオ深夜便』(NHK)。「眠くなったらどうぞおやすみください」のコンセプトのもと、アンカー(番組の進行役)を務めるOB・OGのアナウンサーが、ゆっくりとした口調で話す。リスナー数200万人ともいわれ、放送開始から33年を経たいまでもなお、眠れぬ中高年の心を癒し続けている。そんな『ラジオ深夜便』の魅力に迫る。【前後編の後編。前編から読む

 アンカーとリスナーをつなぐのは“声”のみ。映像のように姿が見えないぶん、記憶に刻まれることも多い。ディレクターの山田亜樹さんは語る。

「番組に出演されたとある大学の先生が講演先のホテルで雑談をしていたら、『○○先生ですか? “深夜便”で聴いた話し方で、すぐにわかりました』と声をかけられ驚いたそうです。全国放送ですから、予想以上に反響が大きいのだと思います」

 リスナーとのコミュニケーションツールとして、ラジオにはお便りがつきものだが、深夜便では一部のコーナーを除き、公式には受け付けていないという。チーフプロデューサーの阪本篤志さんが説明する。

「理由は、リスナーのかたがたに心地よく寝ていただきたいからです。お便りを募集すると『読まれるかもしれない』と期待して、ずっと聴いてしまう恐れがあります。

 それでも、ありがたいことに、自発的に感想やご意見をくださるかたがたが本当に多いです」(阪本さん)

 お便りがきっかけで生まれたコーナーもある。第2・4木曜を担当する村上里和アンカー(57才)が明かす。

「それは、『拝啓お元気ですか』というコーナーです。あるとき、『子供と絶縁状態になってしまった』という悲しいお便りを紹介したところ、『実は私も』と、同じような境遇のかたがたから驚くほど多くのお便りをいただき、それに対する慰めや励ましもたくさん寄せられました。

『誰もが自分の人生を語りたいのかも』と感じ、自分の中に秘めた思いを“あの人”に宛てて手紙に綴るコーナーを立ち上げたんです。募集のたびに平均500通ほどのお便りをいただき、反響の大きさに驚いています。

 また、100才のかたから『いまだから伝えたい』と戦争体験をいただいたときは胸に迫るものがありました」(村上さん)

“リスナーが番組を作る”ことはよくあるが、深夜便ほどそれを感じたことはないと、阪本さんは言う。

「決して参加型の番組ではないのに、“自分の番組だ”と感じてアドバイスや情報をくださり、深夜便が生活の一部となっているかたが多いと実感しています」

 年に数回、アンカーが各地を回って交流するイベント「深夜便のつどい」が開催されているのも、一役買っているのかもしれない。

関連記事

トピックス

大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《大谷翔平が“帰宅報告”投稿》真美子さん「娘のベビーカーを押して夫の試合観戦」…愛娘を抱いて夫婦を見守る「絶対的な味方」の存在
NEWSポストセブン
令和最強のグラビア女王・えなこ
令和最強のグラビア女王・えなこ 「表紙掲載」と「次の目標」への思いを語る
NEWSポストセブン
“地中海の楽園”マルタで公務員がコカインを使用していたことが発覚した(右の写真はサンプルです)
公務員のコカイン動画が大炎上…ワーホリ解禁の“地中海の楽園”マルタで蔓延する「ドラッグ地獄」の実態「ハードドラッグも規制がゆるい」
NEWSポストセブン
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さん、撮り下ろしグラビアに挑戦「撮られることにも慣れてきたような気がします」、今後は執筆業に注力「この夏は色んなことを体験して、これから書く文章にも活かしたいです」
週刊ポスト
強制送還のためニノイ・アキノ国際空港に移送された渡辺優樹、小島智信両容疑者を乗せて飛行機の下に向かう車両(2023年撮影、時事通信フォト)
【ルフィの一味は実は反目し合っていた】広域強盗事件の裁判で明かされた「本当の関係」 日本の実行役に報酬を支払わなかったとのエピソードも
NEWSポストセブン
イセ食品グループ創業者で元会長の伊勢彦信氏
《小室圭さんに私の裁判弁護を依頼します》眞子さんの“後見人”イセ食品元会長が告白、夫妻のアパートで食事した際に気になった「夫としての資質」
週刊ポスト
ブラジルの元バスケットボール選手が殺人未遂の疑いで逮捕された(SNSより、左は削除済み)
《35秒で61回殴打》ブラジル・元プロバスケ選手がエレベーターで恋人女性を絶え間なく殴り続け、顔面変形の大ケガを負わせる【防犯カメラが捉えた一部始終】
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
《ルフィ事件》「腕を切り落とせ」恐怖の制裁証言も…「藤田は今村のビジネスを全部奪おうとしていた」「小島は組織のナンバー2だった」指示役らの裁判での“攻防戦”
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月12日、撮影/横田紋子)
《麗しのロイヤルブルー》雅子さま、ファッションで示した現地への“敬意” 専門家が絶賛「ロイヤルファミリーとしての矜持を感じた」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ツアーに本格復帰しているものの…(左から小林夢果、川崎春花、阿部未悠/時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫》川崎春花、小林夢果、阿部未悠のプロ3人にゴルフの成績で “明暗” 「禊を済ませた川崎が苦戦しているのに…」の声も
週刊ポスト
三原じゅん子氏に浮上した暴力団関係者との交遊疑惑(写真/共同通信社)
《党内からも退陣要求噴出》窮地の石破首相が恐れる閣僚スキャンダル 三原じゅん子・こども政策担当相に暴力団関係者との“交遊疑惑”発覚
週刊ポスト
山本アナは2016年にTBSに入局。現在は『報道特集』のメインキャスターを務める(TBSホームページより)
【「報道特集」での発言を直撃取材】TBS山本恵里伽アナが見せた“異変” 記者の間では「神対応の人」と話題
NEWSポストセブン