ブームが続くとは限らない
急速な拡大を見せる「とじないカツ丼」だが、一方でジャンルとして定着するかは微妙なところ。懸念点はズバリ価格だ。たとえば、「とんかつ丸七」の「並」では1500円(税込、以下同)、「#カツ丼は人を幸せにする(神田店)」の「#とじないカツ丼」は1100円と決して安くはない。
「カツ丼というと、500~800円台が相場。一方でとじないカツ丼は、分厚く豚肉をカットして提供しているため、コストがかかり高価格になるのですが、消費者にとって許容範囲の価格帯になるかは怪しいところ。今は物珍しさで訪れる客が多いので、ブームがひと段落したら逆に縮小する可能性もあり得ます」
ネット上でも味に関しては好意的な意見が多い印象だが、反対に価格に関しては下記のように賛否両論だ。
《最初に言うと値段はしっかりするけどそれ以上の満足感と味を提供してくれる》
《分厚さで有名な某店のとじないカツ丼食べたけど、分厚いだけで別に美味しくもなかった》
《甘ダレで普通に美味しかったけど、値段が高いからサラリーのお小遣いでは行くことは無い ってか行けない》
「ハレの日のたまの贅沢に食べたい」というのが一般的な感覚なのだろうか。そうなると、少ない客の獲得を争うことになり、店ごとの競争が熾烈になる可能性もある。
「とじないカツ丼を提供する店は、まだそのほとんどで画一的な見た目、味をしていて、店ごとの魅力が明確になっていない状況です。『この店ならこの味』というオリジナリティを持ち、差別化を果たさなければ、そのうち飽きられてしまうこともあり得るかもしれません」
この先、はたしてブームに幕を“とじ”ることはあるのだろうか。
(取材・文=A4studio)