芸能

テレビの自主規制を揶揄するドラマ『ふてほど』、BPOの「ハゲネタ問題」を議論した『ワイドナショー』 “攻めた番組づくり”にテレビの復活を期待

(時事通信フォト)

『ふてほど』脚本の宮藤官九郎、『ワイドナショー』で司会を務める東野幸治(時事通信フォト)

 昭和のお色気番組と令和の情報番組を同時に描いて「テレビの不適切な表現」を視聴者に提示した金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』第3話(TBS系、2月9日放送)。漫才コンビ・シシガシラが昨年のM-1グランプリ決勝で披露した漫才ネタへの批判に関連し、BPOが「今後、何らかの話し合いが必要になる可能性」とした問題について議論した『ワイドナショー』(フジテレビ系、2月11日放送)。テレビ局出身のジャーナリストで上智大学教授の水島宏明氏は、両番組について「前向きだ」と評価する。どういうことか。水島氏が解説する。(以下、番組内容に一部触れる箇所があります)

 * * *
 テレビが自らへの批判を直視し、人を傷つけないような新しい表現に挑戦するギリギリまで“攻めた番組づくり”がこのところ目立っている。前向きな動きだと思うのでご紹介したい。

女性に「かわいい〜」はアウトなのか?

 攻める番組づくりの代表例はTBSのドラマ『不適切にもほどがある!』(以下、『ふてほど』)だ。

 阿部サダヲが演じる“昭和”の熱血体育会系教師・小川市郎が主人公で妻に先立たれて高校生の不良娘と2人で暮らす。職場でもバスの中でも人前構わずタバコを吸う。大人向けのビデオや若い女性が水着姿で登場する深夜のテレビ番組でウハウハし、現代ならばセクハラ、パワハラに該当する「不適切発言」だらけの中年男だ。

 偶然タイムマシーンに乗って1986年から“令和”の2024年にやってくる。そこで出会い、心惹かれる女性・犬島渚(仲里依紗)がテレビ局でバラエティー番組の制作現場で働いていることから、“昭和“と”令和“のテレビ局を行ったり来たりし、視聴者に“テレビの現在地”を考えさせる構図になっている。

 2月9日放送の『ふてほど』第3話は「カワイイって言っちゃダメですか?」という題で「テレビ番組のハラスメント」がテーマだった。

“昭和”の深夜番組『早く寝ナイトチョメチョメしちゃうぞ』では番組冒頭で医師の白衣姿で司会するタレント・ズッキー(ロバート秋山)が短いスカートを穿いた女性の股間を下からのぞき込みながら登場する。

「チョメチョメ」「スリーサイズ、ずばり当てられちゃったら」「もっこり、触って当てたら」「食い込み相撲」……。今の基準ならば「アウト」な表現を連発しながら“昭和”のテレビは明るく自信満々で番組を送り出していた様子が描かれる。水着姿で肢体をさらけ出して出演する若い女性たちも堂々としていた。

“令和”から“昭和”にやってきたフェミニストで社会学者の向坂サカエ(吉田羊)も当初は目くじらを立てていたが、若い女性の体を張った演技を見てぽつりとつぶやく。

「えらいよね。あの子たち、なぜ自分がここに呼ばれ、どう振る舞うべきかをちゃんと心得ている。求められる役目を誇りを持って果たしている」

関連記事

トピックス

(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
熱を帯びる「愛子天皇待望論」、オンライン署名は24才のお誕生日を節目に急増 過去に「愛子天皇は否定していない」と発言している高市早苗首相はどう動くのか 
女性セブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)
《台湾有事より切迫》日中緊迫のなかで見逃せない「尖閣諸島」情勢 中国が台湾への軍事侵攻を考えるのであれば、「まず尖閣、そして南西諸島を制圧」の事態も視野
週刊ポスト
裁判が進むにつれ山上徹也被告にも徐々に変化があらわれたという(写真/共同通信社)
《引き金を引くことを生きる目的に》山上徹也被告が法廷で初めて感じた“安倍元首相の命を奪った”という強烈なリアリティー 鈴木エイト氏が傍聴席で見た“犯人の実像”
週刊ポスト
ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
今年6月に行われたソウル中心部でのデモの様子(共同通信社)
《韓国・過激なプラカードで反中》「習近平アウト」「中国共産党を拒否せよ!」20〜30代の「愛国青年」が集結する“China Out!デモ”の実態
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
山上徹也被告が法廷で語った“複雑な心境”とは
「迷惑になるので…」山上徹也被告が事件の直前「自民党と維新の議員」に期日前投票していた理由…語られた安倍元首相への“複雑な感情”【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
NEWSポストセブン