芸能

ドラマ『不適切にもほどがある!』阿部サダヲの“名言”4選「やりすぎ令和」に刺さる「昭和からの教え」

「昭和の親父」を演じる阿部サダヲと「令和のワーママ」役の仲里依紗(時事通信フォト)

阿部サダヲが演じる主人公のセリフには「やりすぎ令和」へのツッコミが満載(時事通信フォト)

 放送のたびにSNSなどで大きな話題となる宮藤官九郎脚本のドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系、金曜夜10時)。令和6年の現在と昭和61年(1986年)を行き来しながら、昭和の文化や流行を時に懐かしく、時に面白おかしく振り返る描写が人気だ。一方、クドカン作品の長年のファンというドラマオタクのエッセイスト小林久乃氏は、「何かと行きすぎた令和への、昭和からの警鐘」が心に刺さるという。小林氏が綴る。(一部、ドラマの内容を含みます)

 * * *
 昭和から令和へ、令和から昭和へ……とタイムスリップを繰り返す、中学校教師の小川市郎(阿部サダヲ)。それぞれの時代で市郎が“適切”、“不適切”な持論や言動を繰り返すドラマ『不適切にもほどがある!』(以下『ふてほど』)が、人気絶好調だ。

 クドカンこと宮藤官九郎脚本のドラマは個人的な名作が多いが、今回の『ふてほど』で視聴者からの注目を集めているのは、昭和vs令和の対比だろう。部活動中の教師による“ケツバット”をはじめ、謎の水飲み禁止ルール。場所をまったく選ばない喫煙、テレビ番組でのセクハラに、娘の“チョメチョメ”と、昭和の文化や流行が「お断り」付きで放送されている。平成生まれにとっては新鮮であり、笑いでもあるはずだ。

 ただ、なかにはモラルやコンプライアンス遵守などが何かと行きすぎた感のある令和に対し、昭和から来た市郎が現代人を諭すシーンが多くある。「昭和からの教え」とも言えそうな印象的な4つのセリフを厳選し、振り返りたい。

「全部その中(スマホ)に入ってんだね、思い出。なくしたら大変だ」

 第4話まで物語が進み、ひょっとしたら祖父と孫かもしれない関係性が浮上している、市郎と犬島渚(仲里依紗)。ふたりが出会ったばかりの第2話、シングルマザーの渚が、自分はテレビ局の社員で夫とは離婚を考えている……と、身の上を市郎と秋津真彦(磯村隼斗)に切々と話す。渚は都度、スマホを取り出して、夫との出会いの頃や結婚式の写真をふたりに見せる。スマホを全く知らない市郎は、渚の何気ない行為に疑問を感じて「全部その中(スマホ)に入ってんだね、思い出。なくしたら大変だ」と、漏らす。

 市郎のシンプルな感想を漏らしたセリフだが、改めて考えるまでもなく、令和に生きる私たちはスマホに振り回されすぎている。市郎の言う、思い出(写真)はもちろん、時計、財布、情報端末と、生活ツールのほとんどを、たったひとつの機械に頼っている。

 よくスマホを落とした、壊れたと大騒ぎするのも、日常をスマホに頼りすぎているからこそ。その現実を思わずにはいられない。ちなみに市郎は亡くなった妻の写真、手紙、娘の思い出を袋に入れて“現物”を持ち歩いている。そういえば現代人は昭和や平成に比べるとバッグも小さくなって、手ぶらも目立つようになった。これも市郎の言う「気持ちわるっ」な現象かもしれない。昔、手ぶらといえばムッチ先輩(磯村)のような不良かチンピラだけだったような……。 

関連記事

トピックス

東日本大震災発生時、ブルーインパルスは松島基地を離れていた(時事通信フォト)
《津波警報で避難は?》3.11で難を逃れた「ブルーインパルス」現在の居場所は…本日の飛行訓練はキャンセル
NEWSポストセブン
別府港が津波に見舞われる中、尾畠さんは待機中だ
「要請あれば、すぐ行く」別府湾で清掃活動を続ける“スーパーボランティア”尾畠春夫さん(85)に直撃 《日本列島に津波警報が発令》
NEWSポストセブン
宮城県気仙沼市では注意報が警報に変わり、津波予想も1メートルから3メートルに
「街中にサイレンが鳴り響き…」宮城・気仙沼市に旅行中の男性が語る“緊迫の朝” 「一時はネットもつながらず焦った」《日本全国で津波警報》
NEWSポストセブン
津波警報が発令され、ハワイでは大渋滞が発生(AFP=時事)
ハワイに“破壊的な津波のおそれ” スーパーからは水も食料品も消え…「クラクションが鳴り止まない。カオスです」旅行者が明かす現地の混乱ぶり《カムチャツカ半島地震の影響》
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月16日、撮影/横田紋子)
《モンゴルご訪問で魅了》皇后雅子さま、「民族衣装風のジャケット」や「”桜色”のセットアップ」など装いに見る“細やかなお気遣い”
夜の街での男女トラブルは社会問題でもある(写真はイメージ/Getty)
「整形費用返済のために…」現役アイドルがメンズエステ店で働くことになったきっかけ、“ストーカー化した”客から逃れるために契約した「格安スマホ」
NEWSポストセブン
牛田茉友氏はNHKの元アナウンサーだったこともあり、街頭演説を追っかける熱烈なファンもいた(写真撮影:小川裕夫)
参院選に見るタレント候補の選挙戦の変化 ラサール石井氏は亀有駅近くで街頭演説を行うも『こち亀』の話題を封印したワケ
NEWSポストセブン
大谷家の別荘が問題に直面している(写真/AFLO)
大谷翔平も購入したハワイ豪華リゾートビジネスが問題に直面 14区画中8区画が売れ残り、建設予定地はまるで荒野のような状態 トランプ大統領の影響も
女性セブン
技能実習生のダム・ズイ・カン容疑者と亡くなった椋本舞子さん(共同通信/景徳鎮陶瓷大学ホームページより)
《佐賀・強盗殺人》ベトナム人の男が「オカネ出せ。財布ミセロ」自宅に押し入りナイフで切りつけ…日本語講師・椋本舞子さんを襲った“強い殺意” 生前は「英語も中国語も堪能」「海外の友達がいっぱい」
NEWSポストセブン
大日向開拓地のキャベツ畑を訪問された上皇ご夫妻(2024年8月、長野県軽井沢町)
美智子さま、葛藤の戦後80年の夏 上皇さまの体調不安で軽井沢でのご静養は微妙な状況に 大戦の記憶を刻んだ土地への祈りの旅も叶わぬ可能性も
女性セブン
休場が続く横綱・豊昇龍
「3場所で金星8個配給…」それでも横綱・豊昇龍に相撲協会が引退勧告できない複雑な事情 やくみつる氏は「“大豊時代”は、ちょっとイメージしづらい」
週刊ポスト
NYの高層ビルで銃撃事件が発生した(右・時事通信フォト)
《5人死亡のNYビル乱射》小室圭さん勤務先からわずか0.6マイル…タムラ容疑者が大型ライフルを手にビルに侵入「日系駐在員も多く勤務するエリア」
NEWSポストセブン