水原氏のマリファナ所持に関する裁判記録
「2014年に記録抹消の手続きを申し立てている」
この“前科”は、水原がMLBの世界に入る際に問題視されなかったのか。カリフォルニア州弁護士会に登録している鈴木淳司弁護士は、「水原氏が記録を抹消した形跡がある」と解説する。
「資料を見ると水原氏は2014年に記録抹消の手続きを申し立てている。同年裁判所がこれを認めて、記録は破棄された。こうなると州法上、民間の就職などでは『前科なし』と説明しても問題はない」
2014年といえば、大谷が侍ジャパンとして日米野球に出場、国際試合デビューを飾った年でもある。水原は当時、日本ハムで球団通訳を務めていたが、そのタイミングで記録を抹消していたことになる。
前出の松木が「営業はうまくなかった」という日本酒の輸入販売会社では、不当解雇をめぐる訴訟が起きた。現地メディアのロサンゼルス・タイムズは賭博問題発覚後の今年3月28日、「2008年に酒類会社が元従業員から不当解雇の申し立てに直面した時、水原氏は宣言書を提出したと裁判所記録が示している」と報じている。が、水原が不当解雇を受けた当人か否かは不明だった。水原が当時働いていた日本酒の輸入販売会社を突き止め、社員に話を聞いた。
「水原君は弊社のロサンゼルス支社で2~3年働いていました。主にオフィス業務で、輸入元とのやりとりや出荷の登録、手配を担当していました」
不当解雇の件については、次のように説明した。
「当時、サンフランシスコの支社で働いていた社員が不当解雇の訴えを起こしたことがあります。ですがそれに水原君が関係したという記憶はないですね。彼はこの時に会社を辞めたわけではなく、業務態度で特に問題は聞いていません。野球が大好きだと言っていたのが、印象に残っています」
こうした状況から推察できるのは、水原自身が不当解雇を受けたわけではなく、同僚の解雇について状況を説明するような宣言書を提出した、ということだ。